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発刊済みメールマガジンMail Magazine

未払い賃金等の請求権の消滅時効が2年から3年に延長
〜厳しく問われる労働時間管理〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第214号
                              2020/02/01

           http://www.koyousystem.jp
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毎日更新される新型肺炎のニュースが気になります。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第214号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆未払い賃金等の請求権の消滅時効が2年から3年に延長
  〜厳しく問われる労働時間管理〜

■時効延長をめぐって労使の意見が真っ向から対立
■消滅時効期間を5年に延長。当分は3年間で決着
■不安を隠せない企業。時間外労働時間の上限規制への対応が急務
             (以上執筆者 溝上 憲文)

◆外国人労働者の受け入れの動向

■外国人労働者受け入れの全体状況
■外国人労働者の就労支援と在留管理の強化
■特定技能制度の運用実績と問題点
             (以上執筆者 北浦 正行)

編集後記(白石多賀子)

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未払い賃金等の請求権の消滅時効が2年から3年に延長
  〜厳しく問われる労働時間管理〜

 今年4月には働き方改革関連法のパートタイム・有期雇用労働法の施行
(中小企業は21年)と、
労働基準法改正による中小企業の「時間外労働の罰則付き上限規制」が
施行される。
それと並んでもう一つの重要な法案が国会審議を経て今年4月に施行される。


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■■■ 時効延長をめぐって労使の意見が真っ向から対立 ■■■
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 残業代など未払い賃金等の請求権の消滅時効を現行の2年から3年に延長する
労働基準法の改正が今国会で審議される。
なぜ3年に延長することになったのか。
現行の労基法115条には「賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は
2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合において
は、時効によって消滅する」と規定している。

 しかし、2020年4月に施行される改正民法は「使用人の給料等に係る短期消滅
時効は廃止した上で、

(1)債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき
(主観的起算点)、

(2)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
(客観的起算点)――債権は消滅」することと改定した。

現行の民法では「短期消滅時効」は1年と規定しているが、民法の特別法である
労基法では、1年では労働者保護に欠け、10年では使用者に酷だということで2
年とした経緯がある。

 民法の短期消滅時効が廃止された以上、民法に合わせて最低でも5年にすべき
であるが、労基法の取り扱いをどうするのかについてはこの間、政府内で議論さ
れてきた。まず厚労省の有識者による「賃金請求権の消滅時効の在り方に関する
検討会」の議論を受けて、公労使3者による労働政策審議会で法改正が審議され
てきた。「賃金請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」の「論点の整理」で
は「将来にわたり消滅時効期間を2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の
権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないか」と提起。
20年4月の民法改正の施行期日を念頭に置きつつ労働政策審議会での検討を促し
ていた。
 ところが労政審では使用者側代表委員と労働側代表委員の意見が真っ向から対
立した。使用者側の主な意見はこうだ。

「仮に民法どおりに改正する場合、使用者としては適法に賃金を支払っているつ
もりであっても、万が一紛争が起きてしまった場合に備えてリスク管理しなけれ
ばならないという事情もあり、企業実務には非常に大きな影響がある。
こうした企業の実態を踏まえ、現行の2年を維持すべき」
(労政審「これまでの主な意見と論点」2020年12月24日)

 また、中小企業の代表委員からは「消滅時効期間が一挙に5年となると、中小
企業、零細企業は事務負担に耐えられない。現行の2年を維持することが望まし
いが、仮に見直す場合にも一挙にできるものではないことに留意して検討すべ
き」と懸念する声も出た。

 一方、労働者代表委員は「労働者保護を目的とする労基法が民法の定める一般
的な債権の権利保護の水準を下回ることは許されない。改正民法と同様、5年の
消滅時効期間とすべき」(同)と原則論を主張した。


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■■■ 消滅時効期間を5年に延長。当分は3年間で決着 ■■■
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 労使の意見が対立したまま越年すると、今年4月の施行も危うくなる。そこで
12月24日の労政審で急遽出されたのが今回の法律案要綱と同じ内容の公益委員の
見解だった。法律案の主な改正点は以下の通りである。

【1】労働者名簿、賃金台帳および解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関す
る重要な書類の保存期間は5年間に延長する

【2】付加金の請求を行うことができる期間は、違反があった時から5年に延長する

【3】賃金の請求権の消滅時効期間を5年間に延長し、消滅時効の起算点は請求
権を行使することができる時(客観的起算点)とする

【4】経過措置として、労働者名簿等の保存期間、付加金の請求を行うことがで
きる期間、賃金(退職金を除く)の請求権の消滅時効期間は、当分の間、3年間
とする

 付加金とは、割増賃金などを支払わない使用者に対して違反があった時から、
労働者の請求によって未払金のほか、これと同一額の支払いを裁判所が命じるこ
とができる制裁金のことだ。「権利を行使することができる時」とは一般的には
「支払い期限到来時」を指す。

 つまり、今回の法改正案は消滅時効期間などは民法に合わせて5年とするが、
使用者側の意見を踏まえて当分の間3年とした折衷案だった。では当分の間とは
いつまでか。
法律案要綱では「法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改
正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認
めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」と、玉虫色の書きぶりに
なっている。

 ただ、建議された労政審の報告書には
「労働者代表委員から、賃金請求権の消滅時効期間を原則5年、当分の間3年と
することについて、労基法の労働者保護という趣旨を踏まえ、改正法の施行から
5年経過後の見直しについては、原則5年とすべきとの意見があった」記してい
る。いずれにしても企業は当面は時効消滅期間3年間に延長されたことに対する
対応が不可欠になる。


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■■■ 不安を隠せない企業。
           時間外労働時間の上限規制への対応が急務 ■■■
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 時効消滅期間が原則5年、当面は3年となったことに対して企業の反応もさま
ざまだ。大手建築関連業の人事担当者は時効期間の延長はやむをえないとの考えだ。

「退職金の時効は5年だが、それに関連する賃金資料もそれに合わせて5年間保
存しているはずだ。3年前まで遡及するといっても事務手続き上はそれほど問題
にならない。残業時間の割増金をきちんと支払っていればよいこと。大企業や中
堅企業を含めて3年や5年になってもしょうがないと思っているところが多いの
ではないか」
 一方、大手医療・介護サービス会社の人事担当者は労働時間管理について不安
を隠さない。

「クライアントの病院で働く医療事務と介護施設や訪問介護に従事している社員
が全国に1万人超いるが、シフト勤務の対象者も多い。訪問介護の社員はタブ
レットを持たせ、利用者宅に何時に入り、何時に終了したという報告をさせてい
るが、それでも時折、ケアレスミスで労働時間を完璧に把握できないこともあ
る。その結果、3年や5年前に遡って未払い賃金を請求されることになりかねない」

 未払い残業代を指摘されて100万円以上支払った企業は2018年度に1768社、支
払額は約126億円に上る。また、今年4月から大企業に続いて中小企業の時間外
労働時間の上限規制も施行される。行政の監視も今まで以上に厳しくなり、労働
基準監督署から違法状態の指摘を受けると企業の負担も今まで以上に重くなる。
 さらに退職後に提訴されることが多い「名ばかり管理職」問題も注意が必要
だ。管理監督者問題を含めて適正な人事・賃金管理のあり方がこれまで以上に厳
しく問われることになるだろう。             (溝上 憲文)

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外国人労働者の受け入れの動向

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■■■ 外国人労働者受け入れの全体状況 ■■■
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 昨年成立した改正入管法による就労にかかる新在留資格「特定技能」の実績は
まだ上がらない。そもそも、労働力不足対策がその立法の趣旨であり、本来は国
際協力を建前とする外国人技能実習制度とは性格が異なる。しかし、現実には労
働力受け入れとしては類似の制度が並立した形となっており、なお十分な整理が
ついて利とは言い難いようだ。

 我が国の在留外国人数は増加傾向にあり、
2018年12月には約273万人に上っている。こ状況の届け出状況による)。
その内訳は次のとおりである。

(1)就労目的で在留が認められる者 約27.7万人
(2)身分に基づき在留する者    約49.6万人
(3)技能実習           約30.6万人
(4)特定活動           約3.6万人
(5)資格外活動          約34.4万人

 国別には、中国が約38.9万人と最も多く4分の1強を占め、ベトナム約31.7万
人、フィリピン約16.4万人となっており、これら3か国で全体の6割程度を占め
る。こうした中で、最近の傾向としてベトナムが対前年比31.9%増と急増してい
ることが目立つ。次いでインドネシアのほかネパールの増加も目立っている。

 ただし、中国やフィリピンは身分に基づく在留資格による就労が多い(中国は
専門的・技術的分野の就労も多い)が、ベトナムは技能実習や資格外活動、イン
ドネシアは技能実習、ネパールは資格外活動が多い。
こうしたことから見れば、専門・技術分野以外の労働力としては、これら3か国
が中心になっているのが現状だといえよう。しかし、これら諸国の給源も少しず
つ限界も見えており、その他の例えばミャンマーやモンゴルあるいは中央アジア
などの国への関心も強くなっている。

 大事なことは、労働力不足は我が国だけの問題ではないという認識だ。
外国人労働力を求める動きは、欧州各国はもちろんのこと、アジアでも韓国、シ
ンガポール、台湾などは需要国として現に送り出し国との強い関係を結んできて
いる。介護労働力を例にとっても、ドイツなど欧州からのオッファーがあるとと
もに、中国その他の近隣諸国からのニーズも高い。
よりよい勤務条件を目指すのは当然としても、既に多くの同胞が出かけ仲間の絆
が期待できる国の強みがある。
そうしたグローバルな視点がまだわが国には弱いようだ。


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■■■ 外国人労働者の就労支援と在留管理の強化 ■■■
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 厚生労働省による外国人労働者対策は、大きく次の3つにわけることができる。

 第一に、ハローワークによる外国人留学生等の就業支援である。
東京、大阪、愛知、福岡に外国人サービスセンターを置き、専門的・技術的分野
の外国人の就業促進のための拠点が置かれている。また、これと連携するような
形で、新卒応援ハローワークに外国人雇用サービスセンターが21か所設置されて
いる。また、定住外国人に対する日本語コミュニケ―ション能力向上などの研修
や就労支援もあるが、これらは国内への「定着」を前提とした対策であり、その
意味ではどれだけ、留学や日本への移住の志向が高まるか、また定着のための環
境整備が進むのかが基本的な課題となる。

 第二に、外国人雇用の届出制度である。
これは労働施策総合推進法に基づくものであるが、その本質は在留管理的な性質
を持っている。その要件は以下のとおりである。外国人の就労を増大させるにあ
たっては、不可欠な施策であり、今回の「特定技能」制度の創設により、入国後
の労働移動が可能とするならば極めて重要な意義を持つ。

 ※日本の国政を有しない者で、「特別永住者」、「外交」、「公用」以外の者
  が対象
 ※届出事項は、氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、資
  格外活動の許可の有無(学生アルバイト等の場合)、雇入れ・離職年月日、
  事業所名称

 在留管理は、もとより法務省が主管するものであるが、昨年の入管法改正によ
る新在留資格「特定技能」の創設を契機に、本年3月から外国人雇用状況届出事
項に、法務大臣発行の「在留カード番号」を追加することになった〈届出様式も
改正〉。これによって、法務省と厚生労働省が在留管理に関する情報共有が可能
になり、不適切な就労の防止の実効が図られるとしている。

 第三に、外国人労働者の雇用管理の改善である。
このため、労働施策総合推進法に基づいて「外国人労働者の雇用管理の改善等に
関して事業主が適切に対処するための指針」(2007年策定)が定められている。
2018年12月の決定された、「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」
(外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)や労働関係法令の改正
等に対応して、昨年4月に以下のような改正(雇用管理の改善のために努めるべ
き事項の追加された主な事項)を行っている。

(1)明らかな方法で説明ができるよう努める
(2)社内規定等の多言語化など、職場における円滑なコミュニケーションのた
  めの環境整備に努める
(3)外国人労働者の苦情や相談を受け付ける窓口の設置など、生活上又は職業
  上の苦情・相談等に対応するよう努める
(4)外国人労働者が一時帰国を希望する場合には、休暇の取得の配慮その他必
  要な援助を行うよう努める

 特に問題となるのは、適正な労働条件の確保や適切な人事管理、教育訓練、福
利厚生等に関する事項である。とりわけ取り扱いに難しさが残るのは、同一労働
同一賃金の問題である。
 本年4月1日より、大企業と人材派遣業から順次施行されるが、外国人技能実習
生や特定技能の労働者も有期雇用の労働者になるため、当然対象に含まれること
になる。職務の内容や遂行能力等と関連の乏しい事柄(国籍、母国の物価水準等)
を理由に外国人労働者のみ賃金が不当に切り下げること、日本人労働者に支給し
ている手当などを支給していないことなどは、比較的判断がつきやすい。
しかし、職務の内容や異動の範囲等に違いがないのかどうかは、日本人同士でも
判断しにくい事例も多く紛争も起きやすい。
外国人労働者がどういう見方をしているのかも注意深く把握していくことが
重要だ。


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■■■ 特定技能制度の運用実績と問題点 ■■■
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 特定技能制度は労働力不足対策という看板を前に出して、昨年4月から急ピッ
チで制度運用が開始されたが、実際の立ち上がりにはかなり準備が不足している
面も多く、まだ運用実績は乏しい、昨年11月末現在の状況(速報値)を見ると、
「特定技能1号在留外国人数」はわずか1019人にとどまっている。
また、受け入れの判断基準となる特定技能試験等の実施状況を見ても、昨年12月
末現在で外食が最も多く受験者数4717人(合格者数2966人)、
次いで介護が受験者数(技能)2634人(日本語)2612人(合格者数それぞれ1254
人、1285人)、宿泊が受験者数1280人(合格者数728人)などとなっている。

本年1〜3月に海外で実施する予定である職集が多いことから、今後はもう少し増
加していく可能性があるが、いくつかの問題が指摘されている。

 まず、受験しても合格率は必ずしも高くない。
特に日本語試験が難しいという声も聞かれるが、これは日本での就業に際しての
基本条件であり、欠かすことはできない。技能実習制度と異なり実習計画や体制
に一定の要件や義務付けもないことから、日本語能力が適正な就労を進める上で
の基本となることはいうまでもない。現に介護では、対人サービスの性格から特
にコミュニケーション能力を重視して介護専用の日本語試験を実施している。
(母国での日本語試験について替え玉受験のような不正事案も生じているという
報道もあり、試験体制全体の実情把握や監督指導が急務の課題となっている。)
 技能についても、職種ごとに問題作成と試験が実施されるため、標準的なレベ
ル合わせができない。
このため、職種ごとの難易度に違いができる可能性も高い。また、日本における
職務遂行の状況に即しての出題となると、母国での技能の内容やレベルと必ずし
も対応できないというケースも現れる。母国では見たことのない機械装置や工具
を問われても答えに窮するような例も見受けられる。さらに、CST方式というコ
ンピューター画面による出題と解答させるような形をとっているため、例えば正
誤を解答すればよいような簡易な出題形式になる可能性が高い。

 いずれにしても、現地での教育訓練との連携が重要である。
職業訓練機関が整備され、その卒業生などが特定技能資格による対象者となる場
合はよいが、こうした十分な体制がない場合には、入国する外国人労働者にかな
り技能レベルの差が生じてしまう恐れもある。築堤技能の建前は、「特定産業分
野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する」
ことにある(技能検定でいえば3級程度の水準にあたるというのが当初の説明で
あり、したがって技能実習よりハイレベルの義に追う労働者という考えかだと説
明されている。)。例えば介護業務では、病院勤務のように類似の仕事分野での
就労経験を持っている場合はよいが、対象となる職種に対して全くの無技能のよ
うな状態での入国には注意が必要である。

 このため、政府による職業訓練や教育の体制が整備されていればよいが、現実
はまだ十分ではない。建設に関しては、独自にベトナム工科大学のような教育機
関と提携して、現地での訓練(日本語習得はもちろん、日本の建設業事情の知識
付与など)を補ってから、入国させていくといったような仕組みを考えてい
るという例もあるようだ。また、一般企業が自前で訓練施設を作って要請を図り
ながら送り出しのルートに乗せていくといった試みも始まっているようである。
 このほか、特定技能制度による外国人労働者数が当初目標を大幅に下回ってい
る理由については、次のような事情もある。

(1)外国人技能実習制度と重なる職種が多く、これらの職種ではまず技能実習2
 号までの習得を考え、その時点で3号への移行か特定技能への切り替えを図る
 という意向が強いといわれる。3年間は技能実習の枠組みで要請を行い、終了
 時点で技能検定3級程度への到達を確認したうえで本格的な雇い入れという姿
 であり、現実的な選択ともいえよう。特定技能は14分野が対象としているが、
 職種や作業の限定がそれぞれある。技能実習の対象でない領域は特定技能が重
 視されることになるが、外食業や飲食料品製造業では、業界が中心になって検
 定試験制度などが整備されてきている。

(2)特定技能による受け入れには、悪質な仲介業者(ブローカー)の排除と適
 正な受け入れ図るため、日本と送り出し国との間で2国間取り決め(MOC)を行
 う必要があるが、各国とも自国民保護の立場からその取り扱いに慎重な姿勢が
 見られる。昨年12月末現在で、11か国との間で署名が行われているが、ブロー
 カー対策の実効を図る上では、情報提供や連携対応など緊密な外交努力が必余
 になっている。

(3)そのほか、景気後退期に雇い止めのような事態になったらどうするか。
 離職後90日は日本に滞在できることになっているが、その間にハローワーク等
 の努力で再就職等が可能か。賃金格差などから地域的な偏在が懸念されてい
 るが、適正な労働移動が行えるか。など多くの課題が残されているが、適正な
 受け入れのための体制整備は、受け入れ機関(企業等)の自主努力によるもの
 とされているだけに、その実行状況が問われるであろう。遅れているが、各種
 のサービスを提供する支援機関もビジネスとして運営されるだけに、料金設定
 やサービス内容などの機関ごとの差が出てくることも今後の課題である。

(4)なお、就労者増加策として受験資格の拡大が図られることとなっている。
 本年4月から、例えば,「短期滞在」在留資格者でも受験を可能にするととも
 に、これまで認められなかった中長期在留者でないか過去に中長期在留者とし
 て在留した経験がない者も国内試験の受験を認めることとされた。
 (短期ビザによる不法就労の合法化にならないような注意が必要だろう。)
                            (北浦 正行)





編┃集┃後┃記┃
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 中国・武漢市で “新型コロナウイルス”が発生しました。

中国は、武漢市の封鎖や春節による旅行制限をしましたが、中国全土および世界
の各国で拡大しています。
日本は、“新型コロナウイルス”を指定感染症に指定しました。
日本国内でも人から人への感染が確認され、不安が増す日々です。
春節の観光客に期待をしていた観光業・小売業に影響が出ていますし、今後の世
界経済への影響が心配されています。
一日も早い終結宣言を祈るばかりです。

2020年は「変革」の年になる予測がされています。

1月の新聞1面に「『黒字リストラ』拡大」の大文字で、業績好調の企業が早
期・希望退職を実施している記事が掲載されました。
リストラの目的は、若手社員への給与の再配分やデジタル時代に即した人材確保
のため、業績が堅調で雇用環境が良好なうちに人員構成を見直す動きからです。

 経団連は、経営労働政策特別委員会報告で、
『年功型賃金や終身雇用などの日本型雇用システムの見直し』を求めています。

今年は、日本の人事制度の転換期になるかもしれません。     (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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