本文へスキップ

人事・労務に関する御相談は東京都新宿区 社会保険労務士法人 雇用システム研究所まで

電話での相談・お問い合わせはTEL.03-5206-5991

〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-13 末よしビル4階

発刊済みメールマガジンMail Magazine

新型コロナウイルス感染拡大の経営・雇用への影響
 〜リーマン・ショック時を教訓に最悪の想定に備えよ〜

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第217号
                              2020/05/01

           http://www.koyousystem.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新型コロナウイルス感染症で影響を受けられた皆さまに、
謹んでお見舞い申し上げます。
なかなか終息がみえない中で不安な日々を過ごされていることと存じます。

雇用システム研究所メールマガジン第217号をお送りします。

=============================================

□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆新型コロナウイルス感染拡大の経営・雇用への影響
   〜リーマン・ショック時を教訓に最悪の想定に備えよ〜

■3月末の契約満了で更新されない派遣労働者が増加
■リーマン時は2008年10月から半年間で正社員の希望退職募集2万人
■政府の対策は十分か。感染拡大を想定した対策が必要
             (以上執筆者 溝上 憲文)

◆新型感染症に対応する緊急雇用対策

■雇用安定対策の考え方について
■緊急対策の各施策の問題点
(1)経営安定施策
(2)雇用安定施策−雇用調整助成金に焦点を当てて
             (以上執筆者 北浦 正行)

編集後記(白石多賀子)

-----------------------------------------------------------------------

新型コロナウイルス感染拡大の経営・雇用への影響
   〜リーマン・ショック時を教訓に最悪の想定に備えよ〜

 新型コロナウイルスの感染拡大と「緊急事態宣言」の発出による自粛要請が
じわじわと雇用に影響を与えている。
連合総研が4月1日〜3日に実施した「新型コロナウイルス感染症関連緊急報告」
によると、雇用や収入にかかわる影響があった人は37.4%にのぼる
(「大いに影響」と「ある程度影響」の合計)。

 「大いに影響」では正社員が11.0%であるのに対し、アルバイト20.5%、
派遣労働者15.6%、パートタイマー14.8%と、非正社員に影響が偏っていることが
わかる。
業種別では「飲食店・宿泊業が」27.8%と最も多く、
次いで「教育・学習支援業」(20.3%)、「運輸業」(19.8%)、
「サービス業」(18.0%)の順になっている。
すでに2月から新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要が激減し、
観光・宿泊・旅行業を中心に非正規社員の雇用も縮小していた。

 具体的な雇用への影響では「勤務日数等減」が多く、アルバイトが72.0%、
派遣労働者が61.8%、パートタイマー59.9%となっている。
「雇い止め」では嘱託が20.0%、契約社員10.6%、派遣労働者3.6%となっている。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 3月末の契約満了で更新されない派遣労働者が増加 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 派遣労働者の雇い止めは少ないように思えるが、実態はそうではない。
派遣労働者で組織する人材サービスゼネラルユニオン(JSGU)の梅田弘会長は
こう語る。
「2月の段階で観光ツアーなどが一切なくなり、派遣添乗員などは派遣先が見つからず、
待機の状態が続いている。3月に入ると、飲食の小売りの大手企業で働く販売系の
派遣労働者が自粛要請で勤務時間・日数の縮小、さらには店舗の休業で契約の中途
解除が相次いでいる。
中途解除なので契約期間までの給与は全額補償すべきだが、派遣先の中には不可抗力
なのでビタ一文払わないという大手企業もあった。
結果的に派遣元が補償することになるが、
組合としては100%補償するように交渉している」

 販売系に続いて製造業派遣も大きな影響を受けている。
「自動車などの製造業では工場の操業停止によって、3月末に契約満了を迎える
派遣労働者の多くが更新されずに派遣元での待機状態が続き、その数はうちの
組合員だけで500人もいる。
今は派遣の有期・無期を含めて派遣元が休業補償をしているが、
体力がいつまで持つかわからない状況だ」

 梅田会長はリーマン・ショック時の”派遣切り”も経験している。
当時、4万5000人の組合員がいたが、2万人近くが合理化などで解雇されている。
今後については「雇用調整助成金の申請など労使で協力し、スピード感をもって
対応しているが楽観はできない。
リーマン・ショック級以上のことが起きるかもしれない」と危惧する。

 営業時間の短縮を強いられている飲食店も厳しい状況だ。
関西圏で数十店舗の飲食店チェーンを展開する企業の人事担当者は
「直接雇用のスタッフの雇用を守るのに精一杯」と語る。
「雇用はなんとか維持しているが、派遣や請負などの外注はできるだけやめている。
パートの労働時間を減らしながらやっているが、最悪、営業停止も想定している。
そうなると雇用調整助成金を使って維持するしかないが、それでも手元の
キャッシュフローでどこまで耐えられるかわからない。
営業停止になれば、持ってもギリギリ3ヶ月だろう」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ リーマン時は2008年10月から半年間で正社員の希望退職募集2万人 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 感染拡大が長期化すれば、雇用はおろか経営も危機的状態に陥るという不安もある。
今回の事態で思い出すのがリーマン・ショックの時である。
2008年9月の米投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻を機に発生した金融危機は
世界的な経済の冷え込みを招いたが、日本では10月に入ると、製造業の期間工や
派遣労働者の契約更新を拒否する雇止めや中途解除を実施する“派遣切り”による
リストラの第一波が襲った。

 事態を重く見た厚労省は09年3月までに派遣労働者2万人を含む約3万人の非正規
労働者が失職すると発表。実際には予想を超えて“派遣切り”が進行し、
自動車や家電、事務機器メーカーを中心に中途契約解除が相次いだ。
その結果、会社の寮を追い出される派遣社員が続出し、東京・日比谷公園内に
設置された“年越し派遣村”が世間の話題になった。

 もちろん政府も手をこまねいていたわけではなかった。
08年11月には再就職支援を実施するための緊急雇用対策本部を本省および都道府県
労働局に設置。翌12月には3年間で2兆円規模の新雇用対策をまとめた。
その目玉として掲げたのが非正規社員の失業手当の受給資格の拡大と給付日数の
特例的延長。さらに緊急雇用創出事業として4000億円を計上し、都道府県による
シルバー人材センターなどでの半年間の短期の直接雇用の実施と、
社員寮から追い出された派遣労働者などに1万3000戸ある雇用促進住宅の空室への
入居あっせんも実施した。

 ところが翌年1月の通常国会での予算の成立を前に派遣切りのスピードが加速し、
前述の年越し派遣村のような状態を露呈した。
しかもリーマン・ショック時は非正規のリストラで終わりではなかった。
3ヶ月後の09年早々には第2波の正社員のリストラが襲った。
08年の9月以降の半年間で希望退職の募集に踏み切った上場企業は117社、
募集人員は約2万人に達した。
09年1月から2ヶ月余りで約7000人の正社員がリストラされている。
わずか半年間で2万人というのは、2002年のITバブル崩壊時の1年間の
早期退職募集者2万8000人を上回る水準だった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 政府の対策は十分か。感染拡大を想定した対策が必要 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 では現在はどうか。

基幹産業の自動車業界ではマツダが昨秋から2工場で期間従業員(非正規)の募集を
停止。トヨタ自動車も2月からすべての工場で期間従業員の募集を停止。
ホンダも同様に全拠点での募集を停止している。
それだけではなく大手自動車8社が国内生産を停止し、他の国内メーカーも工場停止や
減産体制に入り、正社員を含めた一時帰休(自宅待機)に踏み切っている大企業も多い。
ただし、契約期間中の期間工や派遣については現時点では中小企業を除いて大企業は
休業補償などで持ちこたえているようだ。

 政府は雇用を支える従業員の休業手当の一部を助成する雇用調整助成金の助成率を
リーマン・ショック時と同じように大企業は4分の3、中小企業は10分の9に拡大し、
支給要件も簡素化している。4月17日現在で休業計画を届け出た企業は9512社、
支給申請は985社。簡素化で支給決定までの期間は約1ヶ月に短縮されたが、
はたしてこれによってどこまで雇用が守られるのか。

 リーマン・ショック時の雇用調整助成金の利用件数は08年12月に1783社、
翌9年1月に1万2640社に伸びた。当時の政府・与党は生活対策により60万人、
雇用調整助成金の拡充を含む新雇用対策により80万人の計140万人の雇用の下支えが
可能と判断した。140万人は失業率換算で2%に相当する。当時の厚労省の担当者は
「140万人は失業率換算で2%。11月(08年)失業率が3.7%であり、
過去最悪の失業率は5.5%であるが、失業率2%増の悪化は食い止められるだろう」
と言っていた。

 しかし、実際には失業率は悪化の一途をたどった。
08年10月に3.8%だった完全失業率は、09年7月に過去最悪の5.5%(1.7ポイント増)
に跳ね上がった。2020年2月の完全失業率は2.4%だが、仮に1.7ポイント増えると4.1%。
就業者数に占める失業者数は単純計算で120万人も増加することになる。
今回のコロナ不況の雇用への影響はリーマン・ショックを超えるとの指摘もある。
今後の雇用情勢は新型コロナウイルスの感染拡大や「緊急事態宣言」動向で大きく変わる。

最悪の場合を想定した対策が求められている。        (溝上 憲文)

-----------------------------------------------------------------------


新型感染症に対応する緊急雇用対策

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 雇用安定対策の考え方について ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 全国に出されている緊急事態宣言の延長の方向が示され、新型コロナウイルス
感染症への対応は長期化することが必至となっている。
まず急がれるのは、感染症の拡大防止と医療供給体制の拡充であることは論を待たないが、
徐々に深刻化してきているのは雇用問題である。
その対応を誤れば、生活困窮者の増大という事態に直面するだけでなく、
将来的に所得格差の拡大・固定化にもつながりかねないという危機意識が必要だ。

 これに対する政府の対応として、4月20日の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」
の閣議決定とその財源的裏付けを図る令和2年度補正予算が4月30日に成立した。
特に、感染症拡大の収束に目途がつくまでの間の「緊急支援フェーズ」と、
収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進、いわば「V字回復フェーズ」
について両者を併存させた内容となっている。

 その内容は周知のとおりであるが、そもそも「経済対策」というタイトルが
現下の危機認識と少しずれているようにも感じる。
しかも、この二つのフェーズ間は、飛躍しすぎている。
現在は、「救済」の緊急対応の時期であり、その後に、「復旧」、そして「復興」
と考えるのが順序であろう。
まだ感染症終息の時期は見えていないのが現状であり、そこが景気変動に対処してきた
これまでの「経済対策」とは異なる点となるはずだ。
とりわけ雇用対策に関しては、この「復旧」の局面でどれだけ雇用量が確保できるか
どうか(したがって、雇用対策として求人確保や再就職支援、雇用奨励、マッチング
の円滑化などが焦点になろう。)が重要な政策目標となるが、
さしあたりは「雇用維持」が最重点課題であることは間違いない。

 ただ、政府は雇用調整助成金の活用が万能薬であるようなプレゼンスであるが、
これにはいささか違和感がある。後述するように、この制度の本来の趣旨に関わる点も
あるが、最初に考えるべきは「事業の継続ひいては企業の存続」という課題である。
それがあってはじめて雇用も守れるのであり、現状はこうした基盤が崩れかかかって
いることが最大の問題点にほかならない。
したがって、「資金繰り対策」と「雇用の維持」は一対で考えるべきであり、
前者なくしては後者も成り立たない。
(現に金融機関は融資の相談と合わせて、何よりも「給付」として返済不要の
援助措置である雇用調整助成金の併用を勧めている例も多く聞かれる。)

 しかも、総じてマクロ的な視点での整理であり、個々の業種や企業の実情に即した
ミクロの視点に欠ける感がある。政策立案としてはこの両者が不可欠であるが、
ミクロ面での実態把握と分析が進んでいないために、政府の政策の頻繁な変更に
つながい場当たり的な決定という印象を与えているのではないか。
したがって、感染症の蔓延という非常事態における雇用対策は、以下の
ラフスケッチのように組み替えて考えたらよいのではないか。

【1】雇用を確保できるよう経営を支援すること、それが雇用安定の最大の前提である。

 これには、経営資金の融通すなわち資金繰りが重要となるが、これまでの不況対策と
違い、景気循環を主因とするものではなく緊急措置としての「活動の全面的な自粛」と
「その活動制限の期限長期化の懸念」という難しさがある。
また、経営上の困難は各業種や企業の実情によって異なることも考慮する必要がある。

【2】雇用をできる限り維持していく努力を支援すること

 これについても【1】と同様であり、企業の経営状態や雇用状況によって対応を考える
必要がある。これまでの不況期における雇用調整の形としては、

残業削減→臨時・有期の雇用の縮小→一時休業→希望退職募集→人員整理というのが
一般的であったが、今回は事業の全面的な休止であるために、現状の雇用を維持できるか
どうかが焦点となる。
また同時に、雇用継続していても休業その他により所得が減少するという問題点もある。
(この最後の点が個人に対する定額給付支給の所以である、)

・事業活動を継続できるが出勤が制約される→テレワークの活用
・事業活動の継続が困難になり事業休止を行う→一時休業の実施・雇用調整助成金の活用
・事業活動の継続が困難であり雇用を縮小する→人員整理の実施・失業給付
・廃業等の判断により事業継続ができない→従業員の解雇・失業給付


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■■■ 緊急対策の各施策の問題点 ■■■
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(1)経営安定施策

・その中心は、「利子補給を組み合わせた実質無利子・無担保の融資」の枠を拡大して
いくことである。
政府機関の制度融資に加えて、民間金融機関でもこうした融資を受けることを可能とする
ことが基本であるが、新規借り入れは厳しく、既存融資分の借り換え程度だと効果は薄い。
しかも、融資である限り先行きの見通しに関わらざるを得ないが、小零細の企業では
極めて短期的な資金繰りに窮している現状であり、将来の事業継続の見通しも不透明に
なっている。
(その意味では、雇用調整助成金は貸付ではない給付金であるという「資金の性格」から
見て経営支援に即効的な効果もあるだろう。)

・そこで、事業継続に困っている中小・小規模事業者等への支援として、
「持続化給付金」が今回の緊急経済対策の目玉施策として創設された。
これは、「給付金」であり、事業収入が前年同月比 50%以上減少した事業者について、
中堅・中小企業は上限200万円、個人事業主は上限 100万円の範囲内で、
前年度の事業収入からの減少額を給付するものである。

このほかにも、自治体から「休業要請への協力金」として給付が要請対象の業種の企業に
支給されているが、これらの給付金を何に充当していくのかによって、
各企業の満足度も異なる。今後緊急事態の長期化となればその追加支給も
論議される可能性もあろう。

・企業の費用構造を単純化して考えれば、固定費と変動費とに分かれる。
後者は原材料費のようにある程度ストック化してしまうものもあるが、多くは営業活動と
リンクする。そうなれば経営危機の状況下では、如何に固定費のやり繰りが可能かどうか
といった点が重要になる。
だからこそ賃金コストの確保が問題となったといえるが、施設コストへの認識が
遅れ家賃補助制度の創設が大きな議論となっている。


(2)雇用安定施策−雇用調整助成金に焦点を当てて

・雇用調整助成金に多くの期待が集まっているが、そもそもこの助成金の趣旨は、
景気変動など「事業活動の縮小期に雇用維持を行う」ことであり、休業、教育訓練、
出向の手段による。

 このうち休業については、「比較的事前準備が容易であることから、
生産量の変動に機動的に対応する場合や、比較的短期間のうちに生産量の回復が
見込まれる場合等における実施が考えられます」としている。
(厚生労働省「雇用調整金ガイドブック」)

すなわち、「短期間」に「回復」が見込まれることを前提とした緊急対策が休業
という事態への適用である。
その先行きが不透明、しかも経済の急回復も困難視されている中では、
自ずと政策効果にも限度があるといえよう。
その中でも、支給限度日数が、「1年間で100日分、3年で150日分」であることは
緊急対応機関の別枠、クーリングタイムについては撤廃されたことで今後の連続利用
が容易になったことは評価できる。

 差し当たりの要件変更としては、緊急対応期間(2020年4月1日から6月30日まで)
において、助成率を、中小企業は 5分の4、大企業は3分の2に引き上げ、
更に解雇を行わない場合には、中小企業は10分の9、大企業は4分の3とするとともに、
雇用保険被保険者でない非正規雇用労働者も対象とするなどの拡充が行われた。
ここで、雇用保険被保険者外も対象としたことは画期的であるが、この施策が実効性を
持つためには、その対象が非正規雇用とりわけ臨時の雇用者が多いとすれば、
企業としてそもそもの雇用維持の対象に入れるかどうかが大きな課題となる。

 さらに、国会等で論議になっているのは、周知のように、事務手続きの簡素化と
審査機関の短縮の問題と、支給額の引き上げの問題である。

前者については、事後届出の容認(6月30日まで)や、生産指標の支給要件緩和
(対前年同月比 10%以上低下→5%以上低下)が実施されているが、加えて問題と
なった審査期間の大幅短縮等体制整備、更には申請に際しての社会保険労務士の
連帯責任の解除が方針として示された。

 これに対し、支給額については、失業手当日額の最高限度額8,330円を超えること
には政府が難色を示している。そもそも雇用調整助成金は、企業内の失業給付のような
アナロジーの考え方がこの制度が発足した当時の議論の根底にあった。
また、休業手当も労働基準法上の措置であることから、どうしても制約を受けざるを
得ない面がある。
しかも、他の雇用保険制度の給付金にも連動することにもなる可能性もあり、
引き上げは難しい問題だろうただし、(国会では、増額すべきという議論がまだ根強く
残っている。)このため、次のような改正が更に加わることとなった。

 >都道府県知事からの休業等の要請を受けた場合は、一定の要件のもとで、
  休業手当全体の助成率を100%にする、

 >要請を受けていなくても、休業手当について60%を超えて支給する場合には、
 その部分に係る助成率を100%にする

 なお、従業員の生活費確保の観点から、一時休業期間中における副業を認めてほしい
という従業員の声もあり、企業としてもこれを容認するといった事例も見られる。

基本的には企業の判断によるが、就業規則上の規定がある場合の取り扱いなど検討が
必要だ。ただ、給付額の引き上げを求める立場からは、
副業の容認が給付率を法定水準に固定させてしまうのではないかという指摘もされている。

いずれにしても、雇用調整助成金は休業手当を支払うことのできる財政余力があることを
前提とするものである。
多くの経営基盤がぜい弱な小零細企業では、結果として人員整理に向かう可能性も高い。
廃業を決断する企業も黒字状態である比率が高いことが指摘されている。
後継者の確保難から事業承継に行き詰まっている企業も少なくない。
そうした中で、いわゆる「コロナ後」までに企業の淘汰が進むのではないかという
懸念がある。
その意味で、復興ではなく「復旧」のための政策手段を今から検討しておくことは
早計ではないだろう。

****************************************

 このほかにも、またぞろ非正規雇用の労働者あるいは様々な事情による生活困窮者の
雇用安定が問題となる。
また、新規学卒者の内定取り消し、就職未決定者の就職活動停止、
学生アルバイトの生活困窮など若者をめぐる諸問題も指摘されている。
その意味ではかつての就職氷河期のような現象の再来が危惧されている。
さらに、政府も推奨するテレワークも、事態が長期化することによってBCPではなく
恒久的な制度としての有効性を検討していく必要がある。
現状はあくまでも危機対応であり、
本来のテレワーク推奨の考え方との違いにも留意すべきであろう。  (北浦 正行)




編┃集┃後┃記┃
━┛━┛━┛━┛********************************************************

 「緊急事態宣言」が全国に発出されました。

 ゴールデンウイークで気候もよく行楽シーズンです。
しかし、今年はSTAY HOME週間です。

 花が咲き乱れる時季ですが、密集・密接による感染拡大を防止するために
“藤”や“チューリップ”の満開に咲く花が切り落とされています。
心癒す花も被害を受けています。
 
4月25日、厚生労働大臣が新型コロナウイルスの感染拡大で業績悪化した企業が
従業員を休ませた場合に支給する「雇用調整助成金」について、
さらに拡大して中小企業向けの助成を上乗せする方針を表明しました。
詳細は、5月上旬頃を目途に公表するとのことです。

 「緊急事態宣言」が東京都など7都道府県に発出された日以降、企業の売上げ減少、
そして雇用する従業員への賃金保障に苦慮している企業が続出しています。

 特に、中小企業は限界にきています。
従業員の雇用が維持でき、企業が存続できる支援策を早急に
欲しいところです。
雇用調整助成金制度が簡素化、また支援拡大と目まぐるしく変わって
企業の事務作業としては煩雑になっています。

皆様、くれぐれも罹患しないよう“3密”に気をつけ、
仕事とは違うストレスが生じていますが、
一日も早く規制緩和宣言がでるよう頑張りましょう。        (白石)



-------------☆ ☆ ☆ --------------

発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

今月のメールマガジン第217号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
ご感想は info@koyousystem.jp にお願いします。

「こんな記事が読みたい!」というリクエストも、遠慮なくどうぞ。

次回の配信は6月初旬頃情報を送らせて頂きます。

e-mail: info@koyousystem.jp

[過去のメルマガ随時更新]⇒ http://www.koyousystem.jp
=============================================
メールマガジンの配信が不要な方は、お手数ですが、
こちらhttp://www.koyousystem.jp/mail_magazine.html から
配信停止を行って下さい。

社会保険労務士法人
雇用システム研究所
雇用システム研究所

〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-13
        末よしビル4階
TEL 03-5206-5991
FAX 03-5206-5990