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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(1)
 〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第218号
                              2020/06/01

           http://www.koyousystem.jp
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緊急事態宣言が全面解除されました。
新しい生活様式での社会経済活動を取り戻していくと強調される中
心身ともにストレスを感じている方も多くいらっしゃると思います。

雇用システム研究所メールマガジン第218号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(1)
  〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る

■80%出社制限を目指すも部門ごとの偏りやペーパレスの不徹底が露呈
■“残業が少ない”。在宅勤務中の労働時間管理の不安
■「社員の行動が見えづらい」。人事評価手法の再検討
             (以上執筆者 溝上 憲文)

◆「新しい生活様式」に向けた動きについて

■感染症との共存と「新しい生活様式」への取組
■産業保健活動への再認識
■「新しい生活様式」としてのテレワーク
             (以上執筆者 北浦 正行)

編集後記(白石多賀子)

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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(1)
 〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る〜

 新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う外出制限が企業経営に未曾有の
影響を与えている。
緊急事態宣言の解除以降も従業員の安全を守りつつ事業を継続するために
在宅勤務主体の人事管理を行っている企業が多い。

 今回は緊急事態宣言以降、企業はとのような人事管理を取ってきたのか。
東京都内の上場企業の広告会社の事例を検証してみたい。


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■■■ 80%出社制限を目指すも
            部門ごとの偏りやペーパレスの不徹底が露呈 ■■■
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 4月7日に7都府県に「緊急事態宣言」が発出。
14日には原則在宅もしくは出勤者7割減の要請で多くの企業が社員の在宅勤務に
踏み切った。
すでに3月から在宅勤務を推奨してきた広告会社では社員の80%出社制限を目指し、
調整に入った。
在宅勤務を基本に出社と自宅待機の3つに分け、家に子供がいて仕事ができないなど
特別の事情がある場合に限り自宅待機を認め、その間は特別休暇とした。
この中には4月入社の新入社員も当初は含まれた。
在宅勤務に向けた動きについて同社の人事部長はこう語る。
「営業やクリエイティブ部門は個人の裁量で仕事ができる業務が多いので在宅も可能だ。
しかし、制作部門は現場が会社ではなく、
顧客や関連会社と一緒にやる現場業務が多いので、中止にならないかぎり在宅勤務は
難しい。事務部門だと人事部門は給与計算業務、経理部門は期末の決算対応や
各種支払い対応もあり、在宅ではどうしてもできない仕事もあった。
それでも大企業として社会的ルールを守るために部門ごとに社員の出社割合を計算し、
出勤率を20%程度に抑えるようにした」

 しかし、緊急事態宣言下とはいえ、在宅勤務体制の事業継続が十全に機能した
わけではない。実際には決算処理にあたる経理部門の社員はほとんどが出社。
人事部では若手社員は在宅勤務に移行したが、管理職層や役員クラスは出社した人が
多かったという。

 「管理職は1週間ずっと在宅という人は少なく、決裁などもあって部長クラスも
週2〜3日は出社している」(人事部長)
 オフィスと同じように業務を遂行するうえで支障を来した最大の障害は
「会社の印鑑が必要ということもそうだが、最大の問題は業務に使う資料や伝票類、
申請書、企画書がペーパーレス化されておらず、会社に紙で保管されていた」
(人事部長)ことだった。
また、在宅のほうが仕事に集中できて生産性が上がるという声がある一方、
会議に使うZOOMやSkypeは一部の人しか使っていなかったために
慣れるのに時間がかかった。


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■■■ “残業が少ない”。在宅勤務中の労働時間管理の不安 ■■■
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 また、出社する社員の感染防止など安全確保を図るためにオフピーク出勤で
交通機関のラッシュ時を避けること、手洗い、マスク着用のほか入館時の検温を
実施した。
営業を含めた顧客訪問については「国内外の出張は原則禁止とし、
どうしても必要な場合は部門担当役員と人事担当役員の許可を受けることとした。
顧客営業についてはお客さんからも来ないでくれ、ZOOMでやろうということに
なったが、これはお互いさまであり、極力訪問はしないことにした」
(人事部長)という。

 実際に社員が感染もしくは濃厚接触者として疑われた場合は2週間の自宅待機とし、
家族に濃厚接触者が出た場合も同様の措置とし、
その間は特別休暇を付与することにした。
また、在宅勤務者の就業場所は原則自宅とし、自宅以外のカフェなどで仕事をする
ことも禁止した。
人事部長は「カフェに行くのはかまわないが、東京都に3密を避けろと言われており、
外出禁止が基本。
通常なら会社が借りているサテライトオフィスでの勤務も認めているが、今は違う。
カフェの階段で転倒しても会社として労災保険と対象になることは認められない」
と言う。

 また、在宅勤務でも厳格な労働時間管理が求められる。
とりわけ社員の行動が見えにくい中で長時間労働も懸念される。
大企業は2019年4月に時間外労働の罰則付き上限規制が施行され、定時退社の奨励など
残業削減を徹底してきた。
今年4月1日には中小企業にも適用された。
また、厚生労働省のテレワークガイドライン(2018年3月)は
「テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止」を謳い、残業する場合は
許可制にすることを就業規則に明記することを求めている。
人事部長は在宅勤務で残業する社員は少ないと語るが不安も隠さない。

「残業は禁止していないが、する場合は申請による許可制にしている。
上司の指揮命令が行き届かない場所なので厳しくしているが、
申請件数はコロナ前よりも極めて少ない。
人事は残業申請をしろと言っているが、上司がちゃんと管理できておらず、
実際は隠れ残業している社員がいるのではと心配している」

 今年は入社式や導入研修など新入社員への対応でも揺れた。
同社では入社式は延期し、辞令交付のみを行い、研修開始までの2週間は
自宅待機とした。
新入社員全員にノートパソコンと携帯電話を送付し、4月中旬からオンライン上での
3週間の導入研修を実施した。
しかし、対面ではないので新人のケアには気を遣ったという。

「寮にいる社員や一人暮らしもいる。
変な場所に行って感染されても困るので個別に面談をするなどフォローした。
一人の新人に3人の社員がフォローに入った」(人事部長)という。


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■■■ 「社員の行動が見えづらい」。人事評価手法の再検討 ■■■
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 ところで緊急事態宣言解除後も在宅勤務比率をある程度維持しながら
事業を継続する企業もあれば、新しい働き方としてテレワークを取り入れていこう
という動きもある。
その上で課題の一つとして挙げられているのが人事評価のあり方だ。
人事部長はこう語る。

「営業職はもともと直行直帰も少なくないし、モバイルワーク主体でやってきたが、
数字(成果)が評価の大部分を占めていた。
しかし、それ以外の人事・経理・総務などの管理部門やマーケティング、制作部門は、
目標達成度以外のコンピテンシーも重視している。
部下が『コミュニケーションを取りながら周りと連携しながら仕事を進めていた』、
『後輩の育成・指導を熱心にやっていた』といった項目は、
在宅勤務に入ってから見えづらくなっている。
以前は部下の仕事ぶりをみれば大体わかったが、わかりづらいとなれば、
他面評価などの手法を使ってチームで評価し合うような手法も
検討していく必要がある」

 在宅勤務下での部下とのコミュニケーション手法などマネジメントの質も大きく
問われる問題だ。
旧来型マネジメントスタイルが抜けない管理職の中には毎日、
朝礼・終礼のテレビ会議を開くという珍現象も発生している。
リモートワークがコロナの影響下の働き方として注目されるが、
生産性を向上するには働き方の見直しやマネジメントのあり方など
新たな課題が浮上している。               (溝上 憲文)

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「新しい生活様式」に向けた動きについて

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■■■ 感染症との共存と「新しい生活様式」への取組 ■■■
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 いささか前倒し感もあるが、緊急事態宣言の全国的な解除によって、一気に
経済活動が活発化しそうであり、そのことが二次、三次の感染の波を生み出さないか
との懸念も強い。
しかし、最も心配されるのは、不況局面にある経済情勢と雇用情勢である。
本年4月の指標が発表され、有効求人倍率は1.32倍と2016年前期の水準、
新規求人倍率は1.85倍とそれぞれ2016年の前期と2015年の後期の水準まで低下した。
新規求人倍率は、有効求人倍率の先行指標にもなるが、求人数の減少幅が大きいことから、
先行きの見通しとしてはむしろこれから悪化の傾向が強まるとみてよいだろう。

 一方、完全失業率も下がって2.6%となったが、5%台まで上昇したリーマンショック
当時と比べるとまだ落ち着いた状況にある。
しかし、休業者数が597万にまで増えており、これがどれだけ持ちこたえられるか、
また更新月となっていることが多い6月を境に、派遣や契約社員など有期雇用労働者の
契約終了が増えないかなど、離職の増加につながる懸念材料が多い。
現に、新型コロナウイルスの影響による経営悪化を理由とした企業倒産数が増加してもる。
解雇や雇い止めの件数も本年に入ってから先月末までで、見込みも含めて1万5823人に
上る(ハローワーク等の調査)。

 このように、宣言解除といっても、経済そして雇用については、先の見通しが全く
見えない状況の下で推移することが予想される。
しかし、宣言が全国的に解除され、新型コロナウイルス感染症対策が次のステージに
移ってきたことも事実である。
今後は、感染症対策と経済活動の段階的な再開との両輪で進むとされているが、
その前提として「新しい生活様式」の実践が強調されている。
5月4日には、政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が出されたが、
その前提として新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の分析が示され、
その中で提言された「新しい生活様式」を踏まえて、厚生労働省からその内容が公表された。
特に「勤務」の「新しい生活様式」としては、次のような以下の取組が示されている。

□テレワークやローテーション勤務  
□時差通勤でゆったりと □ オフィスは広々と
□会議はオンライン 
□名刺交換はオンライン 
□対面での打合せは換気とマスク

これを受けた民間の取組も広がっている。宣言解除に先立ち、を踏まえ、経団連は
個々の業界や事業場の実態に応じた新型コロナウイルス感染予防対策を行う際の参考
としてガイドライン(オフィス向け、製造事業場向け)を作成している(5月14日公表)。
その内容は、職場においても「新しい生活様式」を実践していという狙いである。
このうちオフィス向けのガイドラインでは、以下のような「講じるべき具体的な対策」が
要請されている。

(1)感染予防対策の体制 衛生委員会や産業医等の産業保健スタッフの活用等
(2)健康確保 勤務中に体調が悪くなったら自宅待機等。派遣・請負労働者も同様の扱い
(3)通勤   テレワーク(在宅やサテライトオフィスでの勤務)、時差出勤、
        ローテーション勤務(就労日や時間帯を複数に分けた勤務)、
        変形労働時間制、週休3日制など、様々な勤務形態の検討。
(4)勤務   2メートルを目安に一定の距離を保てる人員配置。
        勤務中のマスクなどの着用。
        仕切りのない対面の座席配置は避け、可能な限り対角に配置する等。
        出張は、地域の感染状況に注意し、不急の場合は見合わせる。
        外勤時や出張時には面会相手や時間、経路、訪問場所などを記録。
        会議やイベントはオンラインで行うことも検討。
        会議を対面で行う場合、マスクを着用し、換気に留意。
        厚生労働省のガイドラインなどを参照し、
        労働時間の適正な把握や適正な作業環境の整備などに配慮。

(5)休憩・休息スペース 休憩スペースの追設や休憩時間をずらすなどの工夫等。
(6)トイレ  (7)設備・器具
(8)オフィスへの立ち入り 名刺交換はオンラインで行うことも検討等。
(9)従業員に対する感染防止策の啓発等 (10)感染者が確認された場合の対応


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■■■ 産業保健活動への再認識 ■■■
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 このように見れば、「新しい生活様式」とは、実は職場における労働衛生管理の
徹底ということにほかならない。したがって、この緊急時に取り組むべき「3密」
防止のような特別の課題もあるが、多くは職場で講じてきた健康管理への配慮や
施策の再点検といった性格が強いのではないか。

 いわゆる産業保健活動に対する再認識である。周知のように、医療・保健への
政府の対応は、学校、職域、地域という三つの領域分担で網羅的に取り組む体制が
取られている。それぞれの領域における健康問題の特有な事情があることが区分される
根拠であり、職域には専門医として産業医が置かれている。
しかし、現実には、産業医の位置づけは高いとはいいがたく、
今回の新感染症対策の中での役割が見えてこなかった。その役割の重要性に対する
再認識の必要性も高まってきたといえよう。

 5月27日には、日本医師会の産業保健委員会から二つの検討結果が出されている。
一つは、「産業医の組織化に向けた具体的方策 産業医のスキルアップと活動支援」
という認定産業医の活性化に関するものである。さらに、今回の事態への対応として
「医療機関等における産業保健活動としての新型コロナウイルス対策」報告書が
出されている。
この報告書では、産業保健活動の視点から医療従事者の健康と雇用を守り、
医療機関等の業務継続を図るための方策について提言している。

 その内容は、
(1)産業保健活動の目的、
(2)産業医の立場、
(3)総論[1.感染経路の遮断、2.感染者の重症化予防、3.濃厚接触者による感染拡大防止、
 4.高リスクな処置の重点的措置、5.心理的ストレスと長時間労働の緩和、
 6.労働衛生管理の推進]、
(4)各論[1.作業環境管理、2.作業管理、3.健康管理、4.労働衛生管理体制、
 5.労働衛生教育]
と多岐にわたっているが、この情勢下での産業医の主体的な役割を強調したものである。

この産業医の選任は、50人未満の事業所では義務化されていないが、地域の医師会に
委託運営されている地域産業保健センターの活用はもちろん、日頃からの地元の
医療機関との関係を構築しておくことが重要だろう。
これは、今回の新感染症対策に限らず、妊娠期の女性に対する母性健康管理や、
50人未満は努力義務であるがストレスチェックのフォロー、最近の問題として
治療と仕事の両立への対応、そして何よりも残業規制に伴う長時間労働者の
面接指導などでも同様である。

 宣言解除後の企業における新感染症対策は、産業保健活動の強化という点からも
考慮すべき多くの課題を持っている。
労使の協力関係の強化を含めた内部体制の充実とともに、外部の関係者との
ネットワークと協力体制の在り方を見直す機会にもなろう。


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■■■ 「新しい生活様式」としてのテレワーク ■■■
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 「新しい生活様式」の典型として、しかも「3密」を防止するための有効な手段と
してテレワークが注目を浴びている。
実際にも、この緊急事態宣言の期間に外出自粛を担保する手段として実施した企業は
少なくない。
とりわけ大企業においては、比較的早くから体制が整っていたところも多く、
実施率が高かったようであり、宣言解除後もこれを契機にして、更にテレワークの
導入を本格的に進めたいとする動きも見られる。

 こうしたテレワークの導入を支援するため、厚生労働省の施策として
「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」
が新設されている。
これは3月に創設され、その後4月末に制度改正もあったが、当面は5月末までの申請と
いうことになっていたが継続が期待されるところである。
その具体的な内容は以下のとおりとなっている。

●対象事業主 新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する
 中小企業事業主(労働者災害補償保険の適用中小企業事業主)
 小売業(飲食店を含む) 資本金5000万円以下   常時雇用する労働者50人以下
 サービス業       資本金5000万円以下   常時雇用する労働者100人以下
 卸売業         資本金1億円以下     常時雇用する労働者100人以下
 その他         資本金1億円以下     常時雇用する労働者300人以下

●助成対象の取組
 ・テレワーク用通信機器の導入・運用 ・就業規則・労使協定等の作成・変更
 ・労務管理担当者に対する研修
 ・労働者に対する研修、周知・啓発
 ・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
 ・事業実施期間中に助成対象の取組を行うことで、テレワークを実施した労働者が
  1人以上いること
  (少なくとも1人は直接雇用する労働者、派遣先である場合は原則として派遣労働者も対象)

●支給額は、補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円)

 この助成金は、通信機器の選定という技術的な面も考慮しなければならないため、
その方面の専門家の審査も必要なようである。もとより、中小企業は、緊急事態だから
といってテレワークを導入したいと思っても、設備面の対応ができていないというのが、
この施策が出てきた背景ある。いずれにしても、テレワークで重要なのは、ただ機器を
整えればよいというのではなく、通信環境も含めて運用面でのトラブルが生じないような
配慮である。その意味では、技術面のサポートできる専門家と労務面の知識・ノウハウを
持つ専門家の協働が重要だといえよう。

 問題は、テレワークに対する正しい認識である。
通勤がなくて楽だからよいといった働く側の声が多い一方、顔が見えないので本当に
仕事をしているか疑心暗鬼だといった経営側の声もある。
そもそも外出自粛の中での「自宅待機」(休業)とも混合して、テレワーク本来の意味が
見えなくなっている感がある。大企業のように、テレワークの社内ルールも整備されて
経験も十分ある「玄人テレワーカー」に対し、ともかく出社しないようにという
「にわかテレワーカー」とでは、このテレワークの評価も変わってこよう。
そもそも馴染む業務と馴染まない業務、効率性が高まる業務と却って非効率になる業務が
あることなど、運用上の多くの問題があるが、更に現在のテレワーク論議を次のような点
から考え直すことが重要である。

 第一に、緊急措置であるBCPで行う場合と、平常状態で導入を図る場合との違いである。
     基本は、後者についてきちんとした議論と準備の下で進めるべきである。
 第二に、働く側の効用ばかりクローズアップされるが、従業員のニーズも考慮しつつ
     経営施策として判断(だから効率性が重視)を行い、導入されるものである。
 第三に、前提としてマザーオフィスである企業・事業所の業務フローの見直しや社内
     でのICT活用度を高めることであり、事業所外の現場だけでは完結しない。
 第四に、テレワーカーは、必要な技術の知識・ノウハウなどを持つよう、運用面での
     トレーニングを行うとともに、自律的な仕事の遂行と自己管理ができる人材であること。
 第五に、自宅も「勤務場所」であるという自覚が必要なことである。講師の区分け、
     オンとオフの切り替えが必要である。経営側も事務所としての環境条件への
     配慮が必要である。

 このほかにも考えるべき点は多いが、
最も重要なのは、テレワークは「柔軟な働き方」の一つだということである。
オフピーク通勤、フレックスタイム、裁量労働など多くの選択肢と合わせた総合的な
取り組みとして行くことが重要ではないだろうか。         (北浦 正行)




編┃集┃後┃記┃
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まもなく梅雨入りです。

高温多湿の時季はコロナウィルスは減少されるようです。

1月の陽性者発生から、罹患防止でマスク・手洗い等を講じてきましたが、
気がつけば間もなく今年も半分終了します。

人事担当者は、例年、この時期は、労働保険料の年度更新、算定基礎届、賞与計算、
住民税の特別徴収変更月であわただしいです。

今年は、一向に確定しない雇用調整助成金制度に振り回され、厳しい経営状況から
経費削減問題の発生、今月から施行された「パワーハラスメント防止義務化」の対応の
日々です。

精神障害をめぐる労働災害の認定基準も従来の「いじめ・嫌がらせ」が改正され、
「パワーハラスメント」項目が新たに加わり、「必要以上に長時間にわたる厳しい叱責」、
「人格否定するような精神的攻撃」や「会社が適切な対応をせず改善されない」などは、
「強」とされます。

中国から発生したコロナウィルスは数か月で世界中に拡大しました。
古から世界は狭いと思わせる新聞記事がありました。

「12世紀初めに欧州で大雨や冷夏が数年続き、作物の不作と飢饉をもたらした異常気象の
原因が、浅間山の噴火だったかもしれない」とスイスの研究チームが発表しました。

これから熱中症の時季です。
今年は予防のためマスクをしています。
くれぐれも、日々の生活にお気をつけください。          (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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