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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(2)
 〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第219号
                              2020/07/01

           http://www.koyousystem.jp
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蒸し暑く不安定な天候の続く中
コロナ対策をどうしたものかといろいろ悩ましいこの頃です。

雇用システム研究所メールマガジン第219号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(2)
  〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る〜

■在宅勤務規定もなく在宅勤務に突入。出社せざるをえない社員も発生
■社員に濃厚接触者発生。在宅時の労働時間管理に課題
■業務の進捗管理にとまどう管理職。マネジメントスタイルに課題
                  (以上執筆者 溝上 憲文)


編集後記(白石多賀子)

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新型コロナウイルス影響下の事業継続と人事管理(2)
 〜緊急事態宣言以降の取り組みを振り返る〜

 新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う外出制限が企業経営に
未曾有の影響を与えている。
緊急事態宣言の解除以降も従業員の安全を守りつつ事業を継続するために
在宅勤務主体の人事管理を行っている企業が多い。

 コロナ禍の中でとのような人事管理を行ってきたのか、
今回は全国で展開する医療・介護サービス会社の事例を紹介したい。


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■■■ 在宅勤務規定もなく在宅勤務に突入。
                  出社せざるをえない社員も発生 ■■■
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 同社は東京本社と大阪支社に管理部門を置き、全国に介護施設などを展開している。
3月中旬に大阪支社、次いで東京本社と立て続けに入居するビルの別の法人の社員の
感染が発生した。同社の人事担当者は「リスク管理の観点から急遽、在宅で仕事が
できる社員は出勤しないようにと指示し、ほとんどが在宅勤務になった。
ただし、テレワークに関しては人事部など一部の部門でトライアルしていた最中であり、
全社的には就業規則に規定もなくルール化もないまま踏み切った」と言う。

 ただし、社員にはノートパソコンと携帯が貸与されていたために仕事をすること
自体にはさほど支障はなかったという。
4月7日に7都府県に「緊急事態宣言」が発出。14日には原則在宅もしくは
出勤者7割減の要請で多くの企業が社員の在宅勤務に踏み切った。
しかし、介護施設などで働く社員の給与管理は電子化されておらず、
出勤を余儀なくされた社員も多かった。

「全国の拠点で働く社員の出退勤管理から給与確定まですべてオンラインで
処理できるようになっていなかった。登録された出退勤管理についてシステム間を
エクセルで修正するなど人の手を介し、紙の書類を受け渡しするなど在宅では処理
できない事態も発生した。今後は業務プロセスの見直しも必要だと痛感した」
(人事担当者)。
また、社会的にも問題になっている「会社の印鑑が必要なので出社する」という
事態も発生したという。


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■■■ 社員に濃厚接触者発生。在宅時の労働時間管理に課題 ■■■
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 在宅勤務ないしは出社の社員の感染防止など安全確保はどのような方針で臨んだのか。
同社の介護施設でも新型コロナウイルスの陽性者が発生した。
施設を一時的に閉鎖する一方、その対応にも追われた。

「実際に濃厚接触者も発生した。濃厚接触者は全員2週間の自宅待機とした。
一方、社員の家族に濃厚接触者が出た場合も同様の措置とし、
その間は特別休暇を付与することにした」(人事担当者)

 在宅勤務に移行した社員の労働時間管理も求められる。

同社は前述したように在宅勤務ルールはなかったが、オフィスと同様に残業申請・承認の
仕組みを継続。人事部では残業申請すれば原則承認することにした。
その結果、4月の残業が増えたという。

「オンライン上で申請すれば承認することにしているが、人事部門は昨年の4月より
今年の4月の残業は増え、支払いベースでも増加している。
理由として、新入社員の迎え入れや年度の育成計画の設計など4月は他の月に比べて
残業が多い。とくに今年はオンライン研修など不慣れな対応が続いたことで
増えたのではと推測している」(人事担当者)

 加えてもう一つは在宅での時間管理の問題も浮上したという。
「在宅中は子育てなどの事情による仕事中の“中抜け”を認めている。
仮に中抜けしたら、その時間は休憩となるが、今の勤怠管理システムでは、
その分を差し引く機能がない。よってトータルで何時間働き、何時間残業したかを
自身で計算して申請するように言っているが、もしかしたら今まで見逃していた
サービス残業が補足されて増えた可能性もある。今後はしっかりとリサーチし、
在宅勤務中のマネジメントをどうすべきかを含めて検討したい」(人事担当者)

 今年は入社式や導入研修など新入社員への対応も異例の事態となった。
同社は3月17日に新入社員について入社式延期や2週間の集合研修中止の方針を決定。
研修は4月1日から1週間のオンライン研修に切り替えた。

「4月1日の9時にオンライン上で全員が集合し、1時間程度雑談しながら事前に
送付したPCの操作方法を説明。10時から社長の挨拶と経営方針、
担当役員のメッセージを続いて研修に入った。
ただし、ほぼ座学での研修が多く、実践的な研修なしに配属先の現場に送らざるを
得なかったのは不安材料だ」(人事担当者)

 同社の新入社員は研修後、介護施設などの現場に配属される。
折しも新型コロナウイルスの感染の可能性のある現場である。
「本人も嫌がり、両親から何か言われるのではと不安だったが、
とくに問題なく配属先で働いているので安心した」と言う。


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■■■ 業務の進捗管理にとまどう管理職。マネジメントスタイルに課題 ■■■
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 ところで同社は緊急事態宣言解除後も在宅勤務比率をある程度維持しながら
事業を継続している。
その上で課題の一つが、部下が見えないなかでの仕事の進捗状況の確認などの
パフォーマンスの管理だ。
同社の人事部では、去年の後半から東京オリンピック時のテレワークを想定し、
独自の業務マネジメント改革を進めてきた。
具体的には、個々の部員の仕事のスケジュールと情報をネット上で共有化し、
週1回のミーティングで進捗管理を行う仕組みである。
「人事部として取り組むタスクの一覧をつくり、部員の間でタスクの目的と
ゴールを共有するとともに、タスクの目標が部員一人ひとりの目標に紐付いている。
いつまでに何をやるかというタスクの目標の進捗状況を事前に記録し、
週1回の会議で部員同士や上司が確認しあい、困っていることがあれば皆で議論する
ことを実践している。
つまり1週間という時間をどのように使うかは本人の自由だが、
自律的に仕事を進めることが問われる。
もちろん途中で誰かに相談したい場合は躊躇なくチャットで連絡すること、
相談された相手は、忙しいときは『1時間後に連絡をくれ』と、必ず代案を出すこと、
など細かいルールをつくって徹底した」(人事担当者)

 このやり方は人事部の一部でトライアル的に進めたが、在宅勤務下でも何とか
機能しているという。
個々の部員の仕事の“見える化”によって
「タスクの進捗状況や個々の成果が見えるので人事評価も困らない。
評価面談の際の本人の自己評価とほぼずれることもない。
人によって報・連・相がうまいか下手か、業務遂行力などの能力発揮のレベルも見える。
また、それに対する課長の指導力もわかる」(人事担当者)

 ただし、他の部門では部下の進捗管理ができずに困っている管理職もいるという。
人事担当者は「管理職が今までちゃんと指導してこなかったツケが露呈している。
オンライン上でどのように指導していくかという課題が管理職に突きつけられている。
今後、在宅勤務のマネジメントのあり方について研修をする必要があるかもしれない」
と語る。

 突然のコロナ禍の在宅勤務実施によって、労働時間管理を含めた人事管理の課題が
改めて露呈している。
        課題解決に向けた取り組みは他社も同じだろう。 (溝上 憲文)

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編┃集┃後┃記┃
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緊急事態宣言解除後、東京は感染者数が増加傾向です。

先日、政府が新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の廃止を決定しましたが、
その専門家会議が5月4日に提言した「新しい生活様式」を実践しながら
感染拡大を防止する日々となりました。

 従業員の「兼業・副業」について、政府は未来投資会議で
「労働時間の管理は労働者が自己申告する制度」を導入する方針を示しました。

申告漏れや虚偽申告があっても企業の責任は問わないこととし、
企業が「兼業・副業」の解禁に動くよう促すようです。
厚生労働省は、年内に結論を出すとのことです。
働き方改革による「時間外労働の上限規制」の中、
過重労働につながる対応が重要となります。

今は、7月10日までに提出する算定基礎届を作成中です。
例年と異なり4月から新型コロナウイルスによる休業が多く悪戦苦闘している中、
先週25日に、「標準報酬月額の特例改定」が公表され、やり直し作業をしています。

暑さ厳しい中での、マスク生活となりますが、くれぐれもお気をつけください。
                                 (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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今月のメールマガジン第219号はいかがだったでしょうか。
お楽しみいただければ幸いです。
今後もさらに内容充実していきたいと思います。
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