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目前に迫った改正高年齢者雇用安定法の施行
 〜対象者基準の設定など早期の対応が不可欠〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第227号
                              2021/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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寒さの中に春の気配を感じる頃となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第227号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆目前に迫った改正高年齢者雇用安定法の施行
  〜対象者基準の設定など早期の対応が不可欠〜

■継続雇用制度等に加えて業務委託契約など非雇用の選択肢が追加
■対象者基準は具体的かつ客観的な基準が求められる
■コロナ禍で多い検討未着手企業。義務化を踏まえた早期の対応が不可欠
                 (以上執筆者 溝上 憲文)


■厚労省が新たな雇用・訓練パッケージを公表
      ――雇調金・特例措置は4月末まで延長
■大企業のシフト制労働者も「休業支援金・給付金」の対象に
■在籍出向(雇用シェア)の活用による雇用維持・労働移動支援
                  (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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目前に迫った改正高年齢者雇用安定法の施行
  〜対象者基準の設定など早期の対応が不可欠〜

 4月に施行される70歳までの就業確保を求める改正高年齢者雇用安定法(努力義務)
が目前に迫った。
現行の高年齢者雇用安定法(高齢法)の雇用確保措置は
(1)65歳までの定年引き上げ、
(2)定年制の廃止、
(3)65歳までの継続雇用制度(再雇用制度等)
   ――のいずれかの措置を講じることが義務づけられている。


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■■■ 継続雇用制度等に加えて業務委託契約など非雇用の選択肢が追加 ■■■
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 2020年6月1日現在の定年引き上げ企業は20.9%、定年制廃止企業は2.7%、
継続雇用制度導入企業は76.4%となっている。
従業員301人以上の企業は継続雇用企業が86.9%と圧倒的に多い
(令和2年「高年齢者の雇用状況」)。
改正高齢法は65歳から70歳までの就業機会を確保措置として、前述の65歳までの
3つの措置を70歳に引き上げるともに、
それに加えて新たに3つの選択肢が用意されている。

(1)70歳までの継続雇用制度のうち自社や特殊関係事業主
  (子会社・関連会社等)以外に他の事業主での継続雇用も可能。
(2)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
(3)70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度
  (事業主が自ら実施する社会貢献事業と事業主が委託、
  出資等=資金提供する団体が行う社会貢献事業の2つ)

 これらはいずれも65歳までの継続雇用制度を導入している企業もしくは定年を
65歳以上70歳未満に定めている企業が対象になる。
現行制度と大きく違うのは(2)と(3)の非雇用(雇用によらない措置)が加わった
ことであり、これを「創業支援措置」と呼ぶ。

 自社で実施する社会貢献事業とは本業以外のSDGsなどの活動も入り、
「自社の歴史や商品の歴史を説明するセミナーや講演会の講師、植林事業など
自然再生の環境プロジェクトのボランティア活動のリーダー役を想定している企業もある」
(厚生労働省職業安定局高齢者雇用対策課)。
もう一つの委託・出資する団体とは、財団法人やNPO法人など、
すでに企業と一定の関係を持っている団体を想定しているようだ。

 就業確保措置は継続雇用を含めていずれかの措置をとることが可能になるが、
今回は努力義務なので66歳の従業員全員を対象にする必要はなく、対象者を限定する
基準を設けることが可能だ。
これは現行の65歳までの希望者全員の継続雇用制度が義務づけられた
2012年改正以前と同様の措置だ。
ただし、2020年10月に告示された「高年齢者就業確保措置の実施及び運用に関する指針」
(以下、指針)では、対象者基準を設ける際には
「事業主が恣意的に高年齢者を排除しようとするなど法の趣旨や、
他の労働関係法令に反する又は公序良俗に反するものは認められない」としている。


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■■■ 対象者基準は具体的かつ客観的な基準が求められる ■■■
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 具体的には「会社が必要と認めた者に限る」「上司の推薦がある者」、
あるいは一定の基準を設けても「その他必要と認める者」を入れるのは、
基準がないことと同じであり、今回の改正の趣旨に反するおそれがあるとしている。
もちろん「男性(女性)に限る」「組合活動に従事していない者」は
男女雇用機会均等法や不当労働行為に該当する。
例えば「過去〇年間の人事考課が〇以上」とか「過去〇年間の出勤率が〇%以上」
といった具体的かつ客観的基準で労働者の予見可能性のある基準にすることを
求めている。
加えて、その内容については過半数労働組合等の同意を得ることが望ましい
としている(指針)。

 対象者基準は就業規則に定めることになるが
「高年齢者が自分は働かせてもらえないとハローワークに相談してきた場合、
基準があまりにも厳しすぎると労働基準監督署と連携して見直しを求めることもあり得る」
(高齢者雇用対策課)としている。

 また、今回は他の事業主との継続雇用も可能になる。
実態しては再就職だが、企業は斡旋して終わりではなく
「他の事業主との間で、当該雇用する高年齢者を当該他の事業主が引き続いて雇用する
ことを約する契約を締結する必要がある」(指針)。
これは従来の特殊関係事業主で継続雇用される場合も同じだ。

 新たに設けられた創業支援措置を選択する場合、
雇用労働者としてく働く継続雇用などと違い、創業支援措置の業務委託は
個人事業主になることから労働関係法令の適用を受けないなど処遇や契約条件で
不安定な立場に置かれる。

 そのため指針では
(1)社会貢献事業の実施に際しては、企業は社会貢献事業を実施する者との間で
  従事する機会を提供する契約を締結。
  その次に対象者と社会貢献事業を行う者が契約する、
(2)個々の高年齢者と業務委託契約を締結する場合、雇用時の業務内容および働き方
  と同じような業務・働き方をさせてはならない、
(3)創業支援措置を講じる場合は、企業が実施計画を作成した上で過半数労働組合の
  同意を得て労働者に周知する、
(4)委託業務等に起因する事故等に被災したことを事業主が把握した場合は、
  被災した旨を厚生労働大臣に報告することが望ましい
  ――といった措置を求めている。


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■■■ コロナ禍で多い検討未着手企業。
               義務化を踏まえた早期の対応が不可欠 ■■■
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 施行を踏まえた企業の取り組み状況はどうか。
経団連が2020年8〜9月に調査した70歳までの高年齢者就業確保措置の取り組み
状況によると、
具体的な対応を決定済と答えた企業は9.1%。
「対応について検討中」が43.3%、
「まだ検討していない」が43.3%となっている
(「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」21年1月19日)。
折しもコロナ禍で業績悪化に苦しんでいる企業も多く、検討に着手していない
企業も多いようだ。
ある建設関連会社の人事部長は「2019年後半から人事部内で現行の再雇用制度を
含めた人事制度改革の検討を始めていた。
ところが20年4月以降にオリンピック関連の受注が減少し、9月中間決算で
業績が悪化して以来、検討がストップしている。
コロナ以前は業績も好調で、まず定年を65歳に延長し、条件付きで70歳まで
再雇用しよういう声もあったが、正直言って今は固定費の削減に追われており、
高齢法の対応は優先順位が低いのが実状だ」と語る。

 同社では70歳就業確保措置は現時点で春闘の労使協議のテーマにもなって
いないという。
ただし、検討するにしても70歳までの就業確保措置を実施すれば当然、
人件費の負担増は避けられない。
「仮に70歳まで継続雇用するにしても66歳以降の賃金は下げざるを得ない。
一方、現役世代についても脱年功制に向けた見直しに着手しており、
優秀であれば若くても昇格スピードを早め、同時に従来少なかった降格者を
増やすことにより、人件費全体の適正化に取り組んでいく予定」(人事部長)
と語る。

 今回は努力義務ということもあり、厚労省は施行日の4月1日から制度の
検討に着手することも可能だとしている。
しかし政府は就業確保措置の義務化も視野に入れている。
「成長戦略実行計画」(2019年6月21日閣議決定)によると、
努力義務の第1段階の進捗を踏まえ、
第2段階では現行の高齢法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)の
ための法制化を検討するとしている。
法制化の検討時期は高年齢法の労使協定による基準の経過措置の施行が完了する
2025年以降を想定している。
義務化になると企業名公表だけではなく、原則として対象者基準も撤廃される。
現役世代を含めた人事・賃金制度の見直しを含めて準備は急ぐべきだろう。
                             (溝上 憲文)


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■■■ 厚労省が新たな雇用・訓練パッケージを公表
               ――雇調金・特例措置は4月末まで延長 ■■■
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 今年1月に11都府県で再発令された緊急事態宣言によって、時短営業や外出自粛
などの影響で外食や小売、航空・鉄道等の交通インフラおよび観光関連を中心に、
再度、雇用情勢は悪化する懸念がでてきた。こうした状況を受け、
厚生労働省は、新たな雇用・訓練パッケージを2月12日に公表した。
柱は「雇用の下支え・創出」と「仕事と訓練受講の両立」の2本立て。

「雇用の下支え・創出」では、令和2年度第3次補正予算を活用し、
(1)雇用調整助成金の特例措置による雇用維持、
(2)大企業のシフト制労働者等への対応、
(3)感染症対策業務等による雇用創出への支援――を盛り込んだ。

 「仕事と訓練受講の両立」では、新型コロナウイルスの影響により、
休業を余儀なくされたり、仕事が減少したシフト制で働く人が、
自らの職業能力を向上させ、今後のステップアップに結び付けられるよう、

(1)求職者支援制度への特例措置の導入(9月末までの時限措置)、
(2)職業訓練の強化、
(3)ハローワークでの積極的な職業訓練の周知・受講斡旋・就職支援
   ――の施策からなる。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが減少した事業者が休業手当を
支給して従業員を休ませた場合、政府がその費用の一部を助成する
「雇用調整助成金」(雇調金)の特例措置について、
緊急事態宣言が2月中に全国で解除された場合も4月末まで継続する
(日額上限:1日1人あたり1万5000円、助成率は中小企業で最大10分の10、大企業は4分の3)。
また、とくに業況が厳しい大企業および緊急事態宣言対象地域で知事の要請を受けて
営業時間の短縮に協力する大手飲食店などへの助成率を最大10分10とする取り組みも
宣言解除後の翌月末まで継続する。

 その一方、5月からは特例措置を段階的に縮減し、業況が悪い大企業の助成率の
引き上げについては、1万5000円の上限を6月までの措置として1万3000円まで減らし、
助成率も10分の9に縮減する。
ただし、感染が拡大している地域(まん延防止等重点措置対象地域の知事による
基本的対処方針に沿った要請)、生産指標(売り上げなど)が直近3カ月の月平均と
前年または前々年の同期と比べ3割以上減少した全国の事業所については、
感染拡大地域特例・業況特例として、日額及び助成率の上限が維持される。

 現行の特例措置は、2020年1月24日以降の解雇などの有無で確認しているが、
2021年1月8日以降、4月末までの休業などについては、2021年1月8日以降の解雇の
有無で適用する助成率を判断する。7月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り、
原則的な措置、特例措置をさらに縮減するとしている。

 新型コロナ感染拡大に伴う雇用調整助成金の特例措置は2020年4月に開始され、
1月末までの申請累計件数は257万件に達している。
東京商工リサーチの調査によると、全上場企業(3833社)のうち、
16.9%が雇用調整助成金の特例措置を活用し、
対象業種ではこの間の雇用を下支えしてきた。
業績の回復が遅れている業種を中心に、特例措置は活用されており、
1月の新規申請も約32万件にのぼる。
特例措置は雇用維持に効果を発揮しているものの、財源問題が立ちはだかる。
雇用調整助成金は、保険料収入では賄えず、20年末時点の試算ですでに1.7兆円の
財源不足に陥っている。

 雇用保険の積立金から不足分を穴埋めしているが、
その積立金も2021年度に底をつく見通しとなっている。


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■■■ 大企業のシフト制労働者も「休業支援金・給付金」の対象に ■■■
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 前述のパッケージの中には大企業のシフト制労働者も「休業支援金・給付金」の
対象とすることが盛り込まれた。
政府は休業手当を支払わない企業の従業員が休業手当を直接国に請求できる
「休業支援金・給付金」(賃金の8割補償、日額上限1万1000円)を
昨年7月から新設し、緊急事態宣言を受けた被害の大きい産業や非正規雇用者への
経済的支援を強化してきた。

 しかし、これまでの制度では、企業が支払いを拒んだときに、
中小の従業員の場合ならば休業支援金を利用できるが、大企業は制度の対象外と
なっていた。

 このため、緊急事態宣言の短縮営業でシフトが決まっていない分の休業手当を
支払う義務はないとアルバイト従業員に通告していた大企業のケースが、
国会でも取り上げられた。
こうした実情を踏まえ、政府は大企業に雇用され、労働契約上、労働日が明確で
ないシフト制、日々雇用、登録型派遣の労働者等で、事業主が休業させたにも
かかわらず、休業手当を受け取っていない人を対象に新たに休業支援金・給付金
の対象とすることを決めた。

 対象となる休業期間は、第1回目の緊急事態宣言の時期も含めており、
(1)2021年1月8日以降の休業(2020年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県は、
  それぞれの要請の始期以降の休業も含む)が休業前賃金の80%、
(2)2020年4月1日から6月30日までの休業は休業前賃金の60%
  ――としている。

 「仕事と訓練受講の両立」の面からも支援する。
仕事と訓練受講を両立しやすい環境整備を図り、職業能力を向上させ、
今後のステップアップに結び付けられるよう求職者支援制度への特例措置を導入する
(9月末までの時限措置)。
職業訓練受講給付金の収入要件の特例措置として、シフト制で働く人等は
現行月収入8万円以下(シフト労働賃金、兼業・副業収入、感染症対策等業務に係る
地方自治体等による臨時的雇用収入、変動的な自営業収入等と固定収入の合計)を
月収入12万円以下に引き上げる。


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■■■ 在籍出向(雇用シェア)の活用による雇用維持・労働移動支援 ■■■
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 業績が悪化した企業が企業籍を残したまま、他社に出向させる「雇用シェア」が
注目されている。
航空会社が家電量販店・スーパー等へ出向させるケースがよく知られている。

 過去の不況期にはこれに似た雇用維持策がとられてきた。
まず、鉄鋼業が構造不況に陥った1980年代後半に関連企業などへ大規模な在籍出向を
実施した。この時期に生れたのが産業雇用安定センターで、
「失業なき労働移動」を支援する専門機関として、1987年に設立された。
そして、今回の新たに在籍型出向を対象とする新たな助成制度「産業雇用安定基金」
を担う組織と位置付けられた。
2000年に入りITバブルが崩壊して失業率が5%を超えた時期には
ワークシェアリングが注目されたものの、これを採用するケースは限られた。
リーマンショックの際には雇用調整助成金をフル活用して、雇用の維持に努めた。

 こうして振り返ると、今回の「産業雇用安定基金」は、80年代の構造不況から
脱するため、再就職・出向による新たな産業分野への雇用の橋渡しをした
スキームとワークシェアリングの考え方・機能を複合させた取り組みだともいえる。

 基金の概要は以下になる。新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の
一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する
場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成する
「産業雇用安定助成金」が創設され、2月5日に施行された
(助成対象は1月1日からの出向)。

 「出向運営経費」として、出向元事業主及び出向先事業主が負担する賃金、
教育訓練および労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部を
助成する(中小企業・それ以外、また解雇などを行っているか否かで助成割合は
異なるが、出向元・先の合計上限額は1人1日当たり1万2000円)。

 また、「出向初期経費」として、就業規則や出向契約書の整備費用、
出向元事業主が出向に際してあらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を
受け入れるための機器や備品の整備などの出向の成立に要する措置を行った場合、
出向元・出向先とも定額で1人当たり10万円(定額)を助成する。

 在籍型出向の情報や好事例の共有、在籍型出向の送出企業(出向元企業)や
受入企業(出向先企業)の開拓等を関係機関が連携して推進することを目的として、
2月17日に「全国在籍型出向等支援協議会」(政府、労使団体、銀行協会等の金融機関、
産業雇用安定センター等が参加)が開催された。
この協議会は都道府県にも設置される予定だ。

これに先立ち、連合最大の産別労働組合・UAゼンセン(180万人)と
産業雇用安定センターは、昨年9月に「雇用維持と人材確保のための連携協力」に関する
協定を締結している。
新型コロナイルス感染症拡大により、求職・求人双方において更なる連携強化が
重要性を増してきたため、センターとUAゼンセンとの間で人材送出、
受け入れの情報を共有。
UAゼンセンの加盟組合に対し、人材の送り出し(求職)と受け入れ(求人)の
双方について当センターへの登録を促進してもらい、当センターではこれらの
情報を活用して雇用が過剰となっている企業と人手が不足している企業との間で
人材のマッチングを進めることを目的としている。

 3月7日の緊急事態宣言解除の動きが出る中、雇用・就業対策も
ウイズ・コロナの対応からアフター・コロナへ向けた未来志向の対応が求められる
ようになる。
雇用調整助成金や休業支援金は、ウイズ・コロナ禍での負った傷に対する止血的な
雇用対策である。
休業が長引くと、スキル・モチベーションの両面からその維持が困難になる。
その一方、少子高齢化やデジタル産業社会の進展を考えると、
労働集約的な不況業種から、人手・人材不足が著しい医療・介護や情報通信関連の
業種に転職する好機とみることもできる。

 過去の不況期に産業構造の転換が進んだように、
アフター・コロナを遅れが指摘されているデジタル化への対応や医療・介護、福祉
という伸びしろが大きい成長領域に転換させる好機とみて
個人・企業も新たな対応を進める必要がある。        (荻野 登)


JILPTの労働政策フォーラム(2021年3月5日−8日開催)で
「新型コロナと働き方の変化」─就業意識の変化と在宅勤務の動向に注目して─

https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20210308/index.html

荻野登様が、テレワークとアフターコロナを展望した働き方の見直しで、
報告とパネルのコーディネーターを務めます。

編┃集┃後┃記┃
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 東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県の緊急事態宣言は、3月7日まで続きそうです。

 ここ数週間の週末は、天候に恵まれ春の日差しが心地よいですし、
これからは梅・桜などの開花でさらに心が躍る日々となります。

 長引くコロナ禍で緊急事態宣言下でも自粛効果が緩みつつあり、
特にランチ客が急増しているとのことです。

 ワクチンが普及されるまでは外出等の自粛は必要のようです。

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の女性蔑視発言で辞任する問題が
ありました。

世界各国の男女平等の度合いのランキング、「2020年ジェンダー・ギャップ指数」を
世界経済フォーラム(WEF)が発表しました。

調査対象153カ国のうち、日本は121位で、女性の政治参画の遅れが響き先進国では
最低水準となりました。

企業に対して、女性活躍推進法により次のことが求められています。

(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析、
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ
   行動計画の策定・届出・周知・公表、
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表

また、ダイバーシティー(多様性) の推進も求められています。

ダイバーシティーの推進は、女性活用の問題だけでなく、企業で働く多様な労働者、
多様な働き方を取り入れる必要性が高まっているからです。

 今回の問題発言で、経営者は女性活用の重要性を再認識する機会となったはずです。

経営者トップから、ダイバーシティーの推進、女性活躍の取組のメッセージを期待したいです。
 働きやすい職場環境を整備しましょう。               (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp

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