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2022年に直面する企業の課題
 〜テレワークの生産性、新人事制度の運用、70歳雇用など課題が山積〜

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┏━━┓    
┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第237号
                              2022/01/01

           http://www.koyousystem.jp
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令和4年 新しい年を迎えました
本年もよろしくお願い申し上げます

雇用システム研究所メールマガジン第237号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆2022年に直面する企業の課題
 〜テレワークの生産性、新人事制度の運用、70歳雇用など課題が山積〜

■テレワークで露呈した生産性低下にどう対応するか
■進むジョブ型人事制度。問われる制度の厳格な運用
■強まる人員調整圧力と改正高年齢者雇用安定法の対応
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■「壬寅」は成長の礎が期待される年――デジタル化と賃金がカギ
■岸田首相は3%超の賃上げを期待、労働側は前年実績以上をめざす
■雇調金が雇用安定に寄与するも財源がひっ迫――料率引き上げが不可避に
                  (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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◆2022年に直面する企業の課題
 〜テレワークの生産性、新人事制度の運用、70歳雇用など課題が山積〜

 2022年は労働力人口の減少が本格化する。
22歳人口は従来の120万人から毎年1万人単位で減少する「2022年危機」が始まる。
1年で5万人も減る年もあるなど新卒採用にも大きな影響を与える。
一方、企業の従業員の半分を45歳以上が占めるなど高年齢化が進行し、
中・長期の事業運営上に与える影響も大きい。

 コロナ禍で進んだビジネスモデルの変容とデジタル化の促進によって
多くの企業で人事処遇制度の改革も実施された。
1つはリモートワーク実施に伴うフレックスタイム制や時差通勤など自由度の
高い働き方に向けた環境整備、
2つ目はジョブ型人事制度の導入など新たな処遇制度の導入、
3つ目が事業構造改革に伴う早期退職者募集や従業員の高齢化に伴う
キャリア開発支援制度の拡充―などである。

 2022年は制度の運用を含めて真価が問われるとともに、
それに伴う課題への挑戦の年でもある。具体的には以下の3つの課題への取り組み
が求められるだろう。

1.裁量性の拡大に伴うリモートワークマネジメントの充実とキャリア自律の促進
2.ジョブ型人事制度など新人事制度の従業員への浸透と運用上の課題の解決
3.事業モデル等の転換に伴う人材の確保と改正高年齢者雇用安定法への対応


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■■■ テレワークで露呈した生産性低下にどう対応するか ■■■
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 コロナ禍で急速に浸透したテレワークだが、新たな課題も生まれている。
日本経済新聞社の上場企業などを対象にした調査によると、
企業の21.4%が「業務効率が向上した」と答えている一方、「業務効率が悪化した」
と回答した企業が11.8%もある(2021年「スマートワーク経営調査」)。
一般の正社員を対象にした日本生産性本部の「働く人の意識に関する調査」
(2021年10月21日)によると「自宅での勤務で効率が上がったか」の質問に
「効率が上がった」「やや上がった」の合計は53.7%。

 一方「やや下がった」「効率が下がった」の合計は46.3%。約半数の人が
効率が低下していると答えている。

 同調査では「テレワークの課題」について聞いているが、最も多いのは
「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」(37.6%)を挙げているが、
「仕事のオン・オフを切り分けがしやすい制度や仕組み」(25.6%)や
「上司・同僚との連絡・意思疎通を適切に行えるような制度・仕組み」(25.2%)
を挙げている人も少なくない。
仕事の効率が低下した原因は、対面時代に比べてコミュニケーションが
少なくなったこと、在宅でのオン・オフの切り替えができず、
仕事に集中できないというものだ。
当然、個人差はあるが、全体の生産性の低下や長時間労働にもつながる
可能性もある。

 テレワークを軸にした働き方を実現するには従業員一人ひとりの
自律した働き方が不可欠であると同時にマネジメントの役割も重要になる。


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■■■ 進むジョブ型人事制度。問われる制度の厳格な運用 ■■■
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 2番目の処遇制度改革についてはジョブ型人事制度の導入が2020〜21年にかけて
急速に進んだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「ジョブ型雇用の実態調査」
(2021年8月4日〜8月31日)によると、38.3%の企業が一部または全部にジョブ型
人事制度を既に導入済と回答。
ジョブ型人事制度導入に向けたプロジェクトが稼働中・発足予定の企業は13.3%、
情報収集のみの企業が14.1%と関心が高い。
一方、自社への導入を検討していない企業が29,7%と3割を占める。

 実は導入企業で明らかになったのは、ジョブ型と称していても欧米の
ジョブ型雇用をそのまま真似ようとするのではなく、ジョブ型の賃金制度、
つまり「職務等級制度」の導入に主眼がある。
欧米のジョブ型のように職務記述書に基づいて採用されているわけではなく、
職務記述書自体も詳細に定義されているわけではない。
また、新卒一括採用による内部育成も実施され、会社主導の人事異動や転勤も
行われており、日本型雇用と職務等級制度を合体させた
“日本版”ジョブ型人事制度というものだ。

 人事制度改革では職務等級制度と並んで役割等級制度の導入も進んだが、
その目的は脱年功主義と外部人材の調達にある。
大手精密機器メーカーの人事担当者は「国籍、年齢、勤続年数や中途入社に関係なく、
ポジションの責任を担える“適所適材”を実現するには従来の制度では限界がある。
つまり能力は年数とともに積み上がって陳腐化しないという前提に立つ職能資格制度
では年齢に関係なく職責を担える人をふさわしいポジションに配置し、
フェアに処遇していくのは難しい。
年功にとらわれない処遇を実現するには職務等級制度がふさわしい」と語る。

 しかし脱年功主義といっても昇級・昇進評価を含む現場の社員の意識を変えて
いくのは容易ではない。
例えば役職の異動に伴う昇格・降格をどこまで厳密に行えるのか。
つまり職務評価で課長にふさわしくないとなれば本当に降格させることができる
のかも問われる。

 また、職務・役割等級制度を適正に運用していくには2番目にも共通する
従業員の「キャリアの自律」も求められる。
例えば従来の職能給は人の能力形成に応じて処遇が向上していくが、
職務給に移行すると、自らスキルを磨き、キャリアアップしていかない限り、
給与が上がりにくい。
若いときに専門職として給与の高い仕事に就いても、40代になって専門性が陳腐化
する可能性もある。
キャリアや専門性を磨くことを社員に意識させ、会社として支援していく体制の
整備が不可欠となる。
職務・役割等級制度を導入した企業は今後、制度のマイナーチェンジを繰り返し
ながら精度を高めていくことが求められるだろう。


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■■■ 強まる人員調整圧力と改正高年齢者雇用安定法の対応 ■■■
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 3番目の課題は職務等級制度の目的の1つである人材の外部調達を含めて最も
重要な課題になる。
コロナ禍のデジタル化や省人化の取り組みによる業務の効率化、
中・長期のビジネスビジョンを見据えた人材戦略が大きく問われる年になるだろう。

 進むデジタル化への対応や新規事業、そして人材投資には資金が必要になる。
一般的な企業では40〜60代の人件費が総人件費の6割程度を占めると言われる。
資金余力のない企業はその世代の人員を削減し、捻出した資金で新規事業や
人材調達に回すところも出てくるかもしれない。
すでに人員調整圧力は2020年以降の早期退職者募集の増加に象徴されるように
22年以降もさらに高まる可能性がある。
中堅卸売業の人事部長は「今後新規事業に挑戦していくには中高年も戦力化していく
必要があるが、中には気力・体力も落ち、モチベーションが低い社員も少なくない。
事業を成長させるには優秀な人材を外部から採っていく必要がある。
そのためには中高年の社員を削っていくことになる」と語る。

 一方、2021年4月に施行された70歳までの就業機会の努力義務を定めた
改正高年齢者雇用安定法の対応も必要になる。
まだ検討段階の企業も多いが、政府のスケジュールでは第2段階として
2025年度以降の義務化も視野に入れており、先延ばしできる期間は短い。
すでに大手企業の中には65歳定年制と70歳までの継続雇用を打ち出している
ところもあるが、70歳までの雇用に負担を感じている企業も少なくない。
ある大手保険業の人事担当者は
「65歳以降は選択肢の1つである業務委託にする方向で検討している。
ただし会社が必要とする人に限定し、
能力がない人は原則雇用しない方針で考えている」と語る。

 また、負担を感じている企業の中には前述したように60代以上も対象に
人員削減に踏み切る企業も出てくるかもしれない。
上場企業の希望退職の募集企業・人数は2020年に93社、1万8635人だったが、
21年12月9日現在で80社、1万5296人。
2年連続で70社を超え、1万人超えはコロナ前から3年連続となった
(東京商工リサーチ調査)。
この勢いは2022年も続く可能性が高い。

 一方、将来の労働力減少を踏まえ、中高年の戦力化のための再訓練に注力する
企業も少なくない。
人材不足と従業員の高齢化が進むなかで企業は難しい舵取りを迫られる年になりそうだ。
                              (溝上 憲文)


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■■■ 「壬寅」は成長の礎が期待される年――デジタル化と賃金がカギ ■■■
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 オミクロン株の急拡大という新たな不安が世界にひろがるなか、
新年を迎えることになった。
とはいえ、新型コロナ感染拡大が始まってから2年を過ぎ、2022年は
ウイズ・コロナからポスト・コロナに向けての期待が、高まっていく年になるだろう。

2022年は「十二支」では寅年だが、陰陽五行説の「十干」が組み合わさり60年で
一巡する「干支」では「壬寅(みずのえ・とら)」。
辛く厳しい冬が終わり、草木が芽吹き、生命力があふれる春の到来を意味する。
60年前の1962年は高度成長が本格起動した年だった。
このサイクルに当てはめると、2022年は新しい成長の礎の年となるはずだ。

 コロナ禍を通じて、日本の現実を直視しなければならない事実が突きつけられた。
一つはデジタル化の遅れ。もう一つは先進国に劣後し、
さらに韓国に抜かれることになった賃金水準だろう。
デジタル化の遅れは、コロナ禍で導入が加速したテレワークの進展とともに顕在化した。
押印文化の裏にあるペーパーのやり取りによる稟議・承認・契約等がデジタル化を
阻害していた。
さらにIT・AI関連の投資も米中・韓国に比べて見劣りがする。
こうした反省を踏まえて、政府は昨年、「デジタル庁」を設立した。

 緊急事態宣言以降のテレワークの導入状況を取材・ヒアリング調査する中で、
大手企業はポスト・コロナを展望し、デジタル化の推進とともに「働き方改革」を
加速させる方向性を明確にしていた。コロナ前の働き方には戻らないとする企業が大半だった。

 宣言解除後は、揺り戻しがあり、出勤に回帰する現象もみられたが、
大企業では出勤とテレワークとのハイブリッドによる働き方は不可逆的なものとなる。
これにあわせて、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させることになるだろう。

 デジタル化の推進はコロナ危機が企業にもたらした革命的な変化といえるだろう。
もう一つは、賃金水準。2000年以降の諸外国における賃金水準の上昇率に比べ、
日本は例外といえるほど、停滞が続いてきた。
OECD(経済協力開発機構)の2020年時点(購買力平価ベース・1ドル110円)の調査に
よると35カ国中22位で韓国より低くなった。
この間、グローバル化・非正規化・高齢化の進展、デフレ経済の継続と円高から
円安傾向への移行など、要因は複合的かもしれない。
しかし、この間の経済成長率も先進諸国と比べると伸びが極めて低い。

 コロナ危機からの脱却に向けた経済の回復状況を見ても、
日本のレジリエンス(回復力)は諸外国に比べて、力強さに欠ける。
その背景には、個人消費の伸びが著しく停滞していることにある。
デフレから抜け出せず、コスパのいい日本の生活から脱することができないことが、
停滞の根底にある。欧米各国は物価上昇に転じ、
それに呼応して賃金も上昇しつつある。

 これに反して、日本は物価も賃金も反転に転じていない。
過度のインフレは回避しなければならないが、企業物価が30年ぶりに高まっている
現状を反映する価格転嫁は当然なされるべきだろう。
物価上昇による価格転嫁から賃金上昇を生じさせる。
こうした経路を意図的に回避していては、日本経済の浮揚は望めそうもない。

 成長の基礎が期待できる年だけに、デジタル化による生産性向上や
イノベーションの起動によって、新たな成長の芽を見出しつつ、
それに対応した賃金水準の引き上げが、
ポスト・コロナには不可欠な取り組みだといえる。


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■■■ 岸田首相は3%超の賃上げを期待、
               労働側は前年実績以上をめざす ■■■
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 岸田首相は、「成長と分配の好循環」による新しい資本主義を起動させるためには
賃上げが不可欠との認識を示している。
11月8日に発表した緊急提言「未来を切り拓く『新しい資本主義』とその起動に向けて」
では、「従業員に賃金の形で分配してはじめて、消費が拡大し、消費拡大によって需要が
拡大すれば、企業収益が更に向上し、成長につながる。
分配戦略は、成長を支える重要な基盤である」と強調。
11月26日の会合で岸田首相は2022年春闘での3%を超える賃上げへの期待感を表明した。

 こうしたなか、12月10日にまとめられた「令和4年度税制改正大綱」では、
人材確保等促進税制、いわゆる賃上げ促進税制の見直しが最大の注目点となった。
長期的な視点に立って一人ひとりへの積極的な賃上げを促す観点から、
継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が3%以上の企業を対象に、
控除対象雇用者給与等支給増加額の15%の税額控除ができる制度に見直した。
そのうえで、賃上げや人材投資に積極的な企業に対しては、
(1)継続雇用者給与等支給額の対前年度増加率が4%以上の企業は、税額控除率に10%を上乗せ、
(2)教育訓練費の対前年度増加率が20%以上の企業は、税額控除率に5%を上乗せ
 ――による税額控除率の上乗せ措置を講じる。

これら上乗せ措置を適用した場合の最大の税額控除率は30%となる。

 中小企業における所得拡大促進税制については、適用期限を1年延長した上で、
税額控除率の上乗せ措置を見直す。具体的には、
(1)雇用者給与等支給額の対前年度増加率が2.5%以上の企業は、税額控除率に15%を上乗せ、
(2)教育訓練費の対前年度増加率が10%以上の企業は、税額控除率に10%を上乗せ
 ――の措置を適用。
これらの上乗せ措置を講じた場合の税額控除率は最大で40%となる。

このように政府が「賃上げ」を促進させるための施策にテコ入れするなか、
労働組合の中央団体・連合は2020年春の労使交渉に向けた
「2022春季生活闘争方針」を12月2日の中央委員会で決めた。
芳野友子会長は、
「日本の賃金は1997年がピークで、そこからほとんど伸びておらず、
いまでは先進国の中で低位に置かれてしまっている。
生産性の伸びにも追いついておらず、労働者に適正な分配が行われてきたとは言い難い状況だ」
と指摘。

 経済の後追いではなく、経済・社会の活力の原動力となる「人への投資」を
積極的に求める「未来づくり春闘」を展開するとの積極姿勢を示した。

 具体的な賃上げ要求基準は昨年と同様に
「賃上げ分2%程度、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め
4%程度の賃上げを目安」としているが、非正規の社員に適用される企業内最低賃金
の協定額を前年から50円積み増し、1,150円以上とした。
自動車・電機などの金属関係の大手産別が主導し、中小・非正規に相場波及させる
トリクルダウン型春闘が行き詰っていることもあり、
中小企業や有期・短時間・契約等で働く者の賃金を「働きの価値に見合った水準」
に引き上げるとしており、引き上げ幅ではなく、絶対水準を重視。
この取り組みによって、産業内・企業内における「分配構造の転換につながり得る賃上げ」
の重要性を改めて認識するよう促している。

 交渉リード役となる自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別労組で
つくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)は12月3日に2022年闘争方針を決定した。
金属産業の業績回復から、昨年よりも賃上げの環境は改善しているとして方針は、
すべての組合が賃金構造維持分を確保した上で、3,000円以上の賃金改善に
取り組むことを基本とする。

 「2022年闘争は、JC共闘として、2014年以降の継続的な賃上げの流れを
より確かなものとすべく、賃上げ獲得組合数と引き上げ額の拡大に向けて取り組む」
と強調している。

 一方の経営側は1月中旬に経団連が交渉指針となる「経営労働政策特別委員会報告」
を発表する。
連合構成組合は要求提出を原則として2月末までに行い、
2022年春闘がスタートすることになる。
連合は交渉のヤマ場を3月15〜17日に設定。
大手の集中回答日は16日になる見込みだ。


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■■■ 雇調金が雇用安定に寄与するも財源がひっ迫
                 ――料率引き上げが不可避に ■■■
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 経済成長や賃金で見劣りがするわが国経済だが、コロナ危機にあって堅調なのが
雇用情勢だ。
新型コロナの感染拡大とともに完全失業率は悪化し、2020年10月に3.1%まで高まったが、
その後は2%台で安定的に推移。
各国の最悪時の数値と比べても(ドイツ4.1%、韓国5.45%、イギリス5.2%、フランス9.0%、
イタリア10.2%、アメリカ14.8%)良好さが際立っている。

 この背景には、新型コロナウイルス対策で特例措置を講じている雇用調整助成金
(緊急雇用安定助成金を含む)がある。
厚生労働省の試算によると昨年4〜10月の完全失業率が平均5・5%になるところを、
雇調金を中心とする支援策で2・9%に抑えたとしている。
雇調金が未曾有の経済危機の中での失業防止という点で大きな効果を発揮している
とみることができる。

 しかし、特例措置を講じている雇用調整助成金の支給決定額の累計が、
19年春から昨年12月10日までの累計の支給決定が約535万件、
金額は5兆462億円になったとなり、5兆円をこえた。
こうした雇用調整助成金による多額の支出によって、その財源である雇用安定資金や、
同資金に貸し出している失業等給付に係る積立金の残高は著しく減少しており、
雇用保険財政はひっ迫しつつある。

 そのため、厚労省は新型コロナウイルス感染拡大に伴う雇用調整助成金の
特例措置について、2022年1月から段階的に縮小すると発表している。
通常は1人1日8,330円の上限額を1万3,500円に引き上げていたが、
1〜2月は1万1,000円、3月は9,000円に段階的に縮減する。

 さらに2021年度補正予算で一般会計から2.2兆円を繰り入れ、
当面の雇用調整助成金等の財源確保と雇用保険財政の安定化に一定の目途を
つけたものの、
「雇用保険の財政状況は厳しく、来年度の保険料率引き上げは避けられない」
と報じられてきた。

 来年度予算の閣僚折衝を経て、与党内部からの意向も受け、
保険料率の引き上げ時期は来年10月以降になるとみられるものの、
料率の引き上げは避けられそうにない。
その水準については厚労省の審議会で拠出する労使の意向を踏まえつつ、
議論を行ったうえで、雇用保険法の改正案が通常国会に提出される。

 経団連は雇調金全体に要する費用として、一般財源を思い切って投入すべき
であると主張しており、財源のあり方も焦点となりそうだ。
加えて、事業構造の転換を図る企業に対する重点的な助成、
デジタル人材の育成に向けた支援といったポスト・コロナを展望した施策の
重点化も求められるだろう。               (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 明けましておめでとうございます

 今年は、大寒波の到来と新型コロナ変異株“オミクロン”の市中感染でスタートし
ました。

 コロナ禍でテレワークが進んでいます。
テレワークは、通勤やわずらわしい人間関係等から解放されるメリットがあります。
しかし、一方で異なるストレスも生じさせています。
専門家によると「雑談」も大切とのことです。
「雑談」は、仲間の些細な変化やSOSのサインに気づく大切なものであり、
少し仕事から離れて、最近の状況などを聞きながら、何か困りごとはないか、
部下やチームメンバーの様子を確認する機会として重要な役割とのことです。

 
 昨年暮れ、内閣府の有識者検討会は「日本海溝・千島海溝地震」を
震源域とするマグニチュード9クラスの最大級の地震が起きた場合の
被害想定を公表しました。
最近、日本各地で地震が発生し不安なところに現実味を突きつけられました。
避難用グッズの見直しと保管場所を明確にしたいです。

 コロナ禍3年目、充実した一年をお過ごしください。
                                (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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