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70歳までの就業確保を求める改正高齢法施行から1年
 〜継続雇用、業務委託など法的対応はどこまで進んでいるか〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第239号
                              2022/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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春の訪れを感じる季節になりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第239号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆70歳までの就業確保を求める改正高齢法施行から1年
 〜継続雇用、業務委託など法的対応はどこまで進んでいるか〜

■継続雇用制度が多いが、対象者基準を設けるが約84%
■人手不足と戦力化のための再雇用制度の見直しが課題
■業務委託方式を選択肢の1つとして検討する企業も一定数存在
■社会貢献活動の参加者を増やすには政府・自治体の連携が不可欠
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■2022春闘が本格スタート 労働側は前年以上の回答めざす
■トヨタは満額回答で決着へ――賃上げ相場の見通しは?
■成長の再起動に不可欠なイノベーション――キーワードは「結合」に
                  (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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◆70歳までの就業確保を求める改正高齢法施行から1年
 〜継続雇用、業務委託など法的対応はどこまで進んでいるか〜

 改正高年齢者雇用安定法(高齢法)が2021年4月に施行されて1年を迎える。
改正高齢法は65歳から70歳までの就業機会の確保措置を努力義務とするもので、
従来の雇用確保措置にあった
(1)70歳までの定年引き上げ、
(2)定年制の廃止、
(3)70歳までの継続雇用制度(再雇用制度等)
の3つの措置に加えて新たに3つの選択肢が用意されている。

 1つは、70歳までの継続雇用制度のうち自社や特殊関係事業主
(子会社・関連会社等)以外に他の事業主での継続雇用も可能になった。
次に「創業支援措置」として
(2)70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度、
(3)70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度
(事業主が自ら実施する社会貢献事業と、事業主が委託、出資等=資金提供する
団体が行う社会貢献事業の2つ)が設けられた。


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■■■ 継続雇用制度が多いが、対象者基準を設けるが約84% ■■■
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 しかし新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響等で高齢法の施行に向けた
準備が遅れる企業が続出し、本格的に検討に着手したのは21年4月以降と思われる。
経団連が2021年9〜11月に実施した
「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、
「対応済」が21.5%、「対応を検討中」29.5%、「検討予定」38.6%、
「検討していない」10.4%となっている。
「対応済」・「検討中」の企業の具体的な措置内容(複数回答)では定年引上げ、
定年廃止は3%前後と低いが、「継続雇用制度の導入(自社・グループ)」が94,3%と
最も多くなっている。

 新たに設けられた選択肢では「他社での継続雇用制度の導入」が11.4%、
創業支援措置の「業務委託契約を締結する制度」が18.7%。
非雇用の業務委託契約を選択肢とする企業も少なくない。
今回の就業確保措置は継続雇用を含めて希望者全員を対象にする必要はなく、
対象者を限定する基準を設けることが可能だ。対象者基準を設ける企業は
「継続雇用制度(自社・グループ)」で83.8%、
「他社での継続雇用制度」が66.7%、
「業務委託契約を締結する制度」が84.6%。
継続雇用や非雇用の業務委託であっても何らかの対象者基準を設ける企業が多くなっている。

 その背景にはさまざまな理由が考えられるが、人件費コストの増加に加えて、
現行の65歳までの継続雇用制度(再雇用)に問題を抱えているという事情もあるようだ。
サービス業の人事部長は
「コロナ禍で業績不振が続き、70歳まで継続雇用するにしても65歳以降の賃金は
下げざるを得ない。
一方、現役世代についてもすでに脱年功制に向けた見直しに着手しており、
人件費全体の適正化に取り組んでいく予定」と言う。


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■■■ 人手不足と戦力化のための再雇用制度の見直しが課題 ■■■
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 また現行の65歳までの再雇用制度は年収が実質的に60歳時点の半分程度に一律に
下がるうえ、管理職は役職を外れるなど、公的年金の支給の空白期間を埋めるための
”福祉的雇用”という意味合いも強かった。
その結果、逆に再雇用社員の働くモチベーションが低下することが大きな問題に
なっており、希望者全員の70歳までの継続雇用を実施することに大きな負担を
感じている企業も少なくない。

 一般社団法人定年後研究所が大手企業26社の企業人事担当者に実施した
ヒアリング調査(「70歳現役時代に向けた企業と個人の確かな足音」2021年10月)
によると「まずは定年を65歳に延長することを検討しているが、
他律的でぶら下がり意識が強い社員も存在しているので、現在のまま、
単純に70歳まで希望者全員を雇用延長することは難しい」との声もある。
対象者基準を設ける企業が多い中で、希望者全員の再雇用を実施する企業もある。

 大手機械メーカーの人事担当役員は「最大の理由は将来的な人手不足への備え。
ただし現場のヒアリングでは、希望者全員にすれば新しい技術に追いついていけない
人が発生し、現場の阻害要因になり、働く意欲があり、スキルを生かしたい人に
限定するべきとの意見もあった。
そうした意見を踏まえ、改めて60歳以降の再雇用制度についてシニアの活性化を
促す処遇制度等を見直し、70歳までの一気通貫の制度にしていくことを確認。
そのために65歳で線引きするのではなく
希望者全員でよいのではないかということになった」と言う。


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■■■ 業務委託方式を選択肢の1つとして検討する企業も一定数存在 ■■■
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 ところで前出の経団連の調査では創業支援措置の業務委託契約による就労を検討
している企業が18.7%もあった。
前出の定年後研究所のヒアリング調査によると
「昨年(2020年)より、65歳以降1年更新の『業務委託方式』をJOBベースで
本人とマッチングする運営として実験的にスタートしており、
当該層の柔軟な働き方ニーズに応える運営にしたいと考えている。
現時点では、『70歳就業確保法』への対応の選択肢の一つとして検討予定である
(不動産業)」という企業もある。

 確かには業務委託は個人事業主として契約し、いわゆるフリーランスになることで
働き方の自由度が高まる。
65歳以上になると健康や家族の事情等でフルタイム勤務が難しい人も発生する可能性も高く、
同社以外にも柔軟な働き方の1つとして業務委託を検討している広告関連企業もある。
ただし同社の人事部長は数が限定されると言う。

「1つは委託する仕事の切り出し方が難しいこと。
もう1つは外注に出すほどの専門性を持つ人がそんなにいるかという問題もある。
例えば人事の分野では、労働法制に通じた人が会社の就業規則の改定・変更などの
手続きや労基署との対応をしてもらう仕事であれば業務委託できるが、
どうしても人数が限定されるし、当然、希望者全員というわけにはいかない」


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■■■ 社会貢献活動の参加者を増やすには政府・自治体の連携が不可欠 ■■■
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 そもそもこれまで外部でも通用する専門性を磨く育成をしてこなかったのに
65歳を機に個人事業主として自社以外に他社でも仕事を受注し、
収入を得ていくことは難しく、仮に業務委託契約による就労を選択肢にしたとしても、
ごく限られた人材になりそうだ。
業務委託による就労を拡大していくには少なくとも60歳以降から専門性を意識させる
仕事の与え方の工夫や、兼業・副業による外部との接点を通じて自らの市場価値を
高めることが必要だろう。

 また、社会貢献活動にしても同様の課題を抱えています。
前出の経団連の調査では社会貢献事業では
「事業主自らが実施する社会貢献事業に従事できる制度」が3.6%、
「事業主が委託、出資する団体が実施する社会貢献事業に従事できる制度」は4.7%と、
いずれも低率にとどまる。
非雇用(雇用によらない)の措置を導入しない理由については、
「雇用による措置で十分だから」が58.3%と最も多いが
「検討に当たっての情報やノウハウが不足しているため」(22.1%)、
「導入手続きが煩雑であるため」(5.7%)という理由が挙がっている。

 前述したように社会貢献事業に従事するには事業主が自ら実施するもの、
あるいは委託・出資するNPO等の団体に限定される。
しかしこうした活動とは無縁の企業も多い。
企業1社の力で実現することは難しく、NPOなど地域の社会貢献団体や
政府・自治体が連携した一定の受け皿を用意していく必要があるだろう。
                              (溝上 憲文)


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■■■ 2022春闘が本格スタート 労働側は前年以上の回答めざす ■■■
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 今年の春闘は、鉄鋼大手組合が2月10日に要求書を会社側に一斉に提出し、
労使交渉が本格的に始まった。
コロナ禍からの出口はまだ見えないものの、交渉リード役となる自動車、電機、
鉄鋼・造船など金属関連産業の労働組合側は、企業業績はおおむね前年に比べて回復
していることから、昨年よりも積極的な要求を組み立て、昨年以上の回答を求める。

金属大手の先陣を切った基幹労連は2年分を一括要求する方式を採っており、
業績回復を反映して、ベースアップ(ベア)を含む賃金改善の要求として前回20年の
要求より500円引き上げ、22年度は月額3,500円、23年度は3,500円以上を基本とする
方針を掲げた。
要求水準はコロナ禍前の18年に戻った。

 前回20年春闘では鉄鋼総合大手3社が業績悪化のため、7年ぶりにベア・ゼロを回答。
また、21年春闘で三菱重工業や川崎重工業、IHIの労組は業績の悪化を踏まえて、
ベア要求を10年ぶりに見送った。
そのため今季、基幹労連は、「魅力ある労働条件」と「産業・企業の競争力強化」の
好循環に向けて、積極的な「人への投資」が必要だとし、不退転の姿勢を示している。

 自動車メーカーの各組合も16〜17日にかけて、要求書を提出し、労使交渉が始まった。

 半導体不足やサプライチェーンの混乱はあるものの、各社とも業績が回復傾向にある
ことから、ベア要求を復活させる動きが見られる。
昨年、8年ぶりにベア相当の要求を見送ったホンダ労組はベアに相当する賃上げなどで
3,000円、マツダ労組は賃金改善部を含む総額7,000円、
三菱自工労組も賃金改善分として1,000円をそれぞれ要求した。

 このほか、スズキ労組が人材への投資を加え総額7,500円、
SUBARU労組が総額6,400円相当、
ダイハツ労組が人への投資として7,700円、
日産労組は去年より1,000円増の平均月額8,000円
の賃金改定原資の引上げを求めている。


 トヨタ自動車の賃上げ要求は、従来の「全組合員の平均額」ではなく、
12種類の職種や職位ごとに賃上げを求めるものに変更したため、
具体的な要求金額を示していない。
昨年は総額9,200円の要求で満額回答だった。

新しい要求方式についてトヨタ労組の西野勝義委員長は
「組合員一人ひとりの賃上げ要求額がいくらかをわかりやすい形で示すことで、
個々の能力を最大限引き出しつつ、社会全体の格差是正に少しでも貢献していくことが
今回の要求書式の変更の狙い」と、要求申し入れの場で会社側に説明。
職種・職位別の要求をみると、事技職・医務職の指導職で3,400円、業務職の
業務職1級で2,700円、技能職のEX級で4,480円などとなっている。

 一時金も要求を提出し、トヨタ労組の年間一時金要求は昨年実績の6カ月を
上回る6.9カ月分(夏:3.9カ月、冬:3.0カ月)、
ホンダは昨年要求を0.7か月分上回る6.0か月、
日産も昨年要求を0.2か月上回る5.2か月とするなど、
すべての組合が要求水準を引き上げた。

 日立製作所や富士通など電機メーカー大手の労働組合は2月17日に賃金改善
などを求める要求書を経営側に提出した。
上部団体である電機連合が決めた方針に準じて、統一要求基準は
(1)開発・設計職基幹労働者の基本賃金について賃金体系維持を図ったうえで
3,000円の賃金水準の改善、
(2)産業別最低賃金として18歳見合いで4,000円増額の16万8,500を設定。
賃金改善の統一要求額は各労組とも昨年より1,000円引き上げた。

 緊迫するウクライナ情勢や物価上昇という先行きの不透明感が増すなか、
3月16日の集中回答日に向けて、労使がどこに落としどころを見出すのかに注目が集まる。


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■■■ トヨタは満額回答で決着へ――賃上げ相場の見通しは? ■■■
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 経営側も政府からの期待もあり、昨年より賃上げについては前向きな姿勢を
示している。
トヨタ労使は実質的に二回目の協議となる23日、豊田章夫社長が、組合要求に対して
満額で答える姿勢を示し、事実上決着した。

同日の労使協議会でトヨタ社長は、
「異例ではありますが、賃金・賞与について『会社と組合の間に認識の相違はない』
ということを、このタイミングではっきりお伝えしたいと思います。
この発言により、550万人の自動車に関わるすべての働く仲間たちに良い風が吹くことを
期待したいと思います」と述べた。
発言の背景には3月9日に発表した昨年4〜12月期連結決算は売上高、
最終利益とも、過去最高を更新する業績好調振りがあるともいえる。

 通常は2月の組合の申し入れ後、4回程度の協議を経て、
徐々に労使の溝を埋めていくのが通例だが、2回目で社長から満額回答の意志が示される
「異例」の展開となった。

 その直後の翌24日に豊田社長は岸田首相に会い、満額回答を報告。
業績がコロナ前の水準に回復した企業に対して「3%を超える賃上げを期待する」と
要望していた、岸田首相の意向にいち早く答えた結果となった。
自動車産業に働く550万人全体への波及につながるよう、
早期決着したとの考えを伝えたようだ。

長く春闘のパターンセッターとなっていたトヨタ自動車だが、
トヨタを上限とするトヨタ待ち春闘では、いつまでたっても、産業内の賃金格差の
是正は進まない。

今回の早期決着は、賃上げの波及ではなく、より主体的にグループ内及び自動車産業内の
格差是正を進めてほしいとの意図が込められているとみることができる。

 トヨタ自動車によると、経営側がベアの具体額を示さなくなった
18年から21年まででみると、約80社のグループ企業が賃上げ水準でトヨタ本体を
上回ったという。
また、グループ企業の組合でつくる全トヨタ労働組合連合会の集計によると、
今季交渉でトヨタ労組を除く118組合の平均で6,170円の賃上げを求めている。

 このトヨタの動向がどのような効果をもたらすかは、
今後の各企業・産業における労使交渉次第といえる。
賃上げを予定している企業の割合は確かに高まっている。
しかし、物価だけでなくウクライナ情勢の行方など、先行き不透明感が増している
だけに、賃上げ予想をみると、その勢いはそれほど強くない。

 民間の信用調査機関である帝国データバンクが2月11日に発表した
「2022年度の賃金動向に関する企業の意識に関する調査」によると
(回答企業数1万1,981社)、
賃金改善があると見込む企業は前年比12.6ポイント増の54.6%となり、
2年ぶりに半数を超ええている。
賃金改善の具体的な内容では、「ベースアップ」が 46.4%、
「賞与(一時金)」が 27.7%となり、それぞれ前年から増加。
「ベア」は2019年度調査の45.6%を上回り、調査開始以降、過去最高の水準となった。

しかし、賃上げ予想では、労務行政研究所による労使・有識者に対する
見通し調査では全回答者 406 人の平均で「6,277 円・2.00%」(定期昇給分を含む)
となり、20 年以来 2 年ぶりに 2%台に乗るものの上昇幅は小さい。
また、みずほ総研の見通し(2月21日発表)によると、
2022年の春季賃上げ率(定期昇給分+ベア)は1.93%で、
前年(1.86%)から若干高まるも、2%には届かないと予想している。
賃上げ抑制要因には「コストプッシュ型の物価上昇による企業収益の圧迫」など
をあげている。


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■■■ 成長の再起動に不可欠なイノベーション
                ――キーワードは「結合」に ■■■
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 コロナ禍で日本における停滞が明らかになったのが、賃金水準であり、
デジタル化の遅れも露見した。OECDのデータ(ドル建て、購買力平価換算)でみると、
2020年の日本の平均賃金水準は35カ国中22位で、欧州各国の 7〜8 割、
アメリカの 6 割弱の水準に留まっている。

とくにこの間、賃金の上昇が続いた韓国に追い抜かれたことから、
賃金水準の停滞が際立つことなった。

失われた30年といわれる長期停滞の原因としてはイノベーションが加速しなかった
ことを指摘することができる。
定型的業務をデジタル技術によって省力化するのではなく、
非正規雇用の投入でしのいできた。
そしてこの間、IT関連投資も欧米各国に比べると大きく見劣りがする。

ポスト・コロナを展望した各国の動向を見ても、日本の成長率の回復力は勢いに欠ける。
そのため成長の再起動に、イノベーションは必須となる。

イノベーションというと新発明や革新的技術を思い浮かべるかもしれないが、
その本来の意味は「結合」。
例えば、ヘンリー・フォードが1896年に、まだ「自動車」という名称がない時代に
自力で「馬なし馬車」を作り上げていたが、
様々な技術・資本を「結合」させて「T型フォード」を世に問うたのは1908年。
ここから大量生産・消費の米国型資本主義が世界を席巻していく。

近年の例でみると「馬なし馬車」から100年後の1995年にウィンドウズ95が
リリースされてインターネット時代が到来。
その後、様々なイノベーションを「結合」させ、インターネットの爆発的な普及に
つながるiphoneは2007年に発売される。

 スマホは生活に欠かせないツールとなるが、それは自動車の急激な浸透と重なる。

 こうした過去の流れを踏まえると、今までのIT革命はこれから本格化する
イノベーションのプロローグだったともいえる。
今日、世界的なプラットフォーマーであるGAFAに席巻されてはいるものの、
AI等を活用した革新的なイノベーションの起動と展開はこれからではないか。
過去の例をみても、イノベーションには、さまざまな人・技術・情報との
「結合」が重要となる。

 信金・信組が人・情報・技術をつないで、コロナ危機を乗り切ってきた地場産業の
事例をNHK・BSで紹介していたが、
最近、信金関係者と懇談した際に人と人を結び付けることの重要性を改めて感じた。
イノベーションの本質とはこうした「結合」にある。

 日本が強みとしてきた、すり合わせ・蓄積型のイノベーション力を
発揮すべき時なのではないかと期待したくなる。         (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 新型コロナウイルス感染者数がピークアウトしましたが、
その減少スピードは鈍化傾向です。
また、オミクロン株の亜種BA.2の市中感染の確認も明らかになりました。

 長びくコロナ禍で、ストレスが蓄積されています。
子どもたちの立場では、休校や部活・行事の中止等で成長期における
社会生活学習ができなく、心に影を落としています。

 大学生では、河合塾グループによるPROG(大卒者として社会で求められている
一般的な能力〈ジェネリックスキル〉)結果から、
「協働力」「親和力」「行動持続力」などの低下の傾向があるそうです。

 これらの能力は、社会に出て仕事をするときに必要度が高い能力です。

 東北加齢医学研究所所長川島隆太教授によると、
「よいコミュニケーションがとれているときはお互いの脳活動がシンクロし、
揺らぎが同期するという現象が起きる。
対面で顔を見ながら会話しているときは、脳反応の周期数は同期しているが、
オンラインではそれが見られない。
オンラインは、脳にとってはコミュニケーションになっていないということで、
情報は伝達できるが感情は共感していなく、
相手と心がつながっていないことを意味する。」

 コロナ禍の長期化により、働き方や労働者の意識がさらに多様化しています。
企業においては、今まで以上に対策が必要になります。       (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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