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発刊済みメールマガジンMail Magazine

改正女性活躍推進法が中小企業に施行
 〜人材獲得の有効性と活躍を阻む構造的問題とは何か〜

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第241号
                              2022/05/01

           http://www.koyousystem.jp
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初夏を感じる季節になりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第241号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆改正女性活躍推進法が中小企業に施行
  〜人材獲得の有効性と活躍を阻む構造的問題とは何か〜

■情報公表の内容によって人材採用にも影響する
■国際的に女性管理職比率が低いのは「経営層の意識」も問題
■女性の活躍が進まないのは会社・上司に2つの原因
■昇格に足る女性が少ないのは「配慮という名の排除」が原因
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■中小企業、非正規雇用の賃上げが堅調に推移――背景に人材の確保
■ジョブ型と職務給――時空を超えて導入議論でクロスする情景
■AI開発に必要な文系と理系――中高年層も「ジョブ型」
                  (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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◆改正女性活躍推進法が中小企業に施行
  〜人材獲得の有効性と活躍を阻む構造的問題とは何か

 女性の活躍を後押しする改正女性活躍推進法(女活法)が4月1日から全面施行され、
従業員101人以上300人以下の中小企業も行動計画の策定と情報公表が義務化された。
すでに301人以上の企業は2016年4月に施行され、女性活躍推進やダイバーシティ推進に
取り組む企業も徐々に増えている。
公表が義務づけられている厚生労働省の
「女性の活躍企業推進データベース」は就活生など求職者の企業選びの指標の1つに
なっている。


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■■■ 情報公表の内容によって人材採用にも影響する ■■■
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 行動計画策定にあたっては、まず
(1)採用した労働者に占める女性労働者の割合、
(2)男女の平均継続勤務年数の差異、
(3)労働者の各月ごとの平均産業時間数等の労働時間の状況、
(4)管理職に占める女性労働者の割合
 ――の4つについて自社の状況を把握。

そのうえで女性労働者の割合など
(1)女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供と、
   男女別の育児休業取得率など
(2)職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
 ――2つの項目から数値目標を選択し、計画期間、取り組み内容などの行動計画を
 策定することになっている。

 301人以上の企業は(1)と(2)の項目ごとに必ず1つ以上の数値目標を選択する
必要があるが、300人以下の企業はいずれかの項目の1つ以上を選べばよい。
策定した行動計画は労働者に周知するとともに、ホームページなどで外部に公表し、
策定した旨を都道府県労働局に届け出る必要がある。
法の施行日が今年4月1日なのですでに届出が完了していることになる。

 情報公表義務の中身は先の(1)と(2)をさらに限定した項目から選択する。
301人以上の企業は(1)と(2)のそれぞれ1項目以上(2020年6月以降)、
300人以下は両方から1項目以上選択し、自社のホームページや厚労省の
「女性の活躍企業推進データベース」に入力して外部に公表しなければならない。

 求職者などが簡単に閲覧できるようにするためだが、
公表内容は企業によってさまざまだ。
厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課の担当者は
「多く公表している企業もあれば、自慢したい項目だけを公表している企業もある。
求職者はこのデータを見て会社を評価する面があるので、一つしかないと良いところ
しか見せていないと思うだろうし、逆に数字が良い項目や悪い項目を載せていれば正直で、
がんばっていると思うかもしれない」と語る。

 実際にデータベースを検索すると有給休暇の取得率だけを載せている企業もある。
項目には女性活躍以外にも、男女別の育児休業取得率、労働者の1ヶ月当たりの
平均残業時間も含まれる。
就活生が気にする定番は残業時間だが、有給取得率だけを公表している企業は
残業時間が長いのではと推測しても不思議ではないかもしれない。

 また活躍が進んでいる優良企業は「えるぼし」(3ランク)、
最高位の「プラチナえるぼし」に認定され、企業のPRに活用できる。
採用、労働時間、管理職比率など5つの基準の達成レベルに応じて認定されるが、
えるぼし認定企業は1601社、プラチナえるぼし認定企業が23社となっている
(2021年12月末)。


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■■■ 国際的に女性管理職比率が低いのは「経営層の意識」も問題 ■■■
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 働く人の大多数を占める中小企業にも適用されることで
さらなる底上げが期待されるが、現状では女性の活躍が進んでいるとはいえない。
厚生労働省雇用環境・均等局作成の資料によると、
課長相当職の比率は11.5%、部長相当職8.5%(2020年)。
国際比較では先進国に遠く及ばず、
フィリピン、シンガポール、マレーシアの東南アジア諸国より低い。

 日本では何が女性の活躍を阻んでいるのか。エン・ジャパンが人事担当者に実施した
「企業の女性活躍推進実態調査」(2021年3月、400社)によると、
女性社員の活躍推進における課題では
「社内に女性のロールモデルがいない(少ない)」(43%)、
「女性社員の意識」(43%)、
「(育児中の場合)勤務時間」(32%)、
「仕事内容」(31%)、
「経営層の意識」(31%)、
「管理職の意識」(30%)が上位に挙がっている。
2018年調査との比較では「ロールモデルがいない」、
「経営層の意識」がともに24ポイント増と高くなっている。
3年前に比べて女性活躍に対する経営層の関心が薄れつつあるようだ。

 ロールモデルが少ないと回答した企業の中には
「管理職以上の昇格を望んでキャリアを築く女性が少ない」(メーカー)という声。
女性社員の意識では「家庭に重きを置き、仕事で活躍することを希望していない女性が多い」
(金融関連)と関連する声もある。


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■■■ 女性の活躍が進まないのは会社・上司に2つの原因 ■■■
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 管理職を望まない女性、仕事で活躍するのを希望しない女性が多いことを
人事担当者は憂えているが、はたしてそれは女性だけの問題なのか。
リクルートマネジメントソリューションズの武藤久美子エグゼクティブコンサルタント
はむしろ上司・会社側に2つの問題があると指摘する。
1つは上司のコミュニケーションのあり方だ。

「女性に対してはなぜだか『課長になりたいか』『課長の仕事を全うできそうか』と、
覚悟を問うこと。
男性に対しては器が人をつくるという世界観の中で爽やかに任せようとするのとは対照的。
もう1つは『課長になれば給与も上がり、権力が持てるぞ』と肩書きやパワーを
説得材料にすること。
しかし、役職やパワーに魅力を感じない女性も多くいる」

 あなたが一番ふさわしい、あるいは周りの人があなたにやってもらえたら部下として
うれしいと思っているといった言い方もできるのに、
画一的な価値観を前面に出すことで昇格意欲を失わせる結果になってしまう。

 もう1つは管理職の働き方にも原因があると言う。
「働き方改革の中で長時間労働を抑制しようとする企業の中には、
非管理職の一般社員を定時に帰し、管理職が残りの仕事を引き受けて遅くまで
残業する風景も珍しくなかった。
自分の専門性を発揮しながらプレイヤーとして自分の居場所を得ている女性からすれば、
管理職になれば自分よりも部下の働き方に配慮しなければならないという上司像を
ずっと見てきている。
しかも給与もそれほど上がらないし、管理職になるのはコスパが悪いと思ってしまう
のは当然。
長く勤めようと思う女性ほど管理職手前のポジションにいたほうがよいという
計算が働くのはむしろ賢い選択だ」


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■■■ 昇格に足る女性が少ないのは「配慮という名の排除」が原因 ■■■
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 また、人事関係者の中には昇格時に
「男性と並べたときに昇格に足る女性の質と量が足りていない」という悩みを口に
する人も少なくない。
しかし武藤氏はこうした悩みは、企業の人事施策自体に大きな原因があると指摘する。
「課長に昇格するには10〜20年程度の経験やキャリアの積み重ねが必要になるが、
実はその間に難しい顧客を担当させなかったり、
会社の代表として仕事を担う責任を与えなかったりするなど、
少しずつ女性に配慮してきたことに原因がある。
10年間かけて経験させないといけないことがわかっているのに、
それをやってこなかったことで悩んでいる企業が多い」

 たとえ女性に対する善意の配慮であったとしても管理職に不可欠なスキルや経験を
伸ばすことを逆に阻んでいるという。
これを「配慮という名の排除」と形容する声もある。
企業の持続的成長の阻害要因になりかねない。

女性活躍が進まない原因は企業の働き方、働かせ方などの組織の慣習や人事施策を
含む構造的問題もあるようだ。
改正女活法の対象となる中小企業にとっても大きな課題でもある。 (溝上 憲文)


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■■■ 中小企業、非正規雇用の賃上げが堅調に推移――背景に人材の確保 ■■■
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 2022年の春季労使交渉(春闘)は自動車・電機などの大手企業で組合の要求に満額で
応える企業が相次いだが、中小企業やパートなどの非正規雇用の賃上げも堅調だ。
連合の3月末時点での集計では、ベースアップなどの賃上げ分の回答が額・率とも
大手企業より中小企業の方が上回っていることに加え、率でみるとパート時給の
賃上げ率は正社員を上回って推移している。
日本・東京商工会議所の共同調査でも、今季賃上げ予定の企業は5割近くに上っており、
その理由として「人材の確保・採用」を指摘する意見が多い。

 連合(芳野友子会長、700万人)が4月1日時点でまとめた集計によると、
ベースアップなどの月例賃金改善(定昇相当分含む)を要求した4,108組合中、
約半数(2,065組合)が妥結済みで、うち半数を超える1,058組合が賃金改善分を獲得。
平均賃金方式で回答を引き出した2,189組合の加重平均は6,319円(2.11%)で、
昨年同時期を856円・0.29ポイントそれぞれ上回った。
同時期の回答集計で率が2%を超えるのは3年ぶり。
前年同期比で組合規模別にみると、「300人以上」は、6,413円(2.12%)で額で882円、
率で0.30ポイントそれぞれ上回った。
「300人未満」は5,125円(2.06%)で486円・0.22ポイント増となっている。

また、ベアや賃金改善などの「賃上げ分」が明確に分かる1,284組合の
「賃上げ分」の加重平均は1,632円(0.53%)で、K字型といわれる業績回復の
バラつきを反映して前年同時期を43円(0.04ポイント)下回った。
しかし、「300人未満」では1,781円(0.71%)で同比484円(0.19ポイント)
増となり、全体平均を額・率とも上回っている。

 また、パート等の短時間組合員が6割を占める最大産別のUAゼンセン
(松浦昭彦会長、180万人)の3月末現在の妥結状況によると、
短時間組合員の賃上げ率は7年連続で正社員を上回っている。
パート等を組織化している163組合の時間当たり賃金の妥結額
(制度昇給およびベア・賃金改善分など)の単純平均は26.6円(2.58%)で、
前々年(30.3円)は下回ったものの、前年(23.0円)は上回った。
賃上げ率を一人当たりの加重平均(55万6,946人)でみると、
額で25.5円、率で2.50%となり、同産別の正社員の加重平均の賃上げ率
(2.41%)を上回った。

 こうした、中小企業における堅調な賃上げと非正規雇用の時給改善については、
コロナ後を展望した人材確保の必要性が増していることがあるようだ。
日本商工会議所と東京商工会議所(三村明夫会頭)が4月5日に発表した
「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」によると、
2022年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8%にのぼる。
「賃上げを実施予定」と回答した企業のうち、約7割(69.4%)が
「業績の改善がみられないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)予定」と回答。
賃上げを予定している理由について、「社員のモチベーション向上」(85.4%)や
「人材の確保・採用」(68.6%)と回答した企業が多かった。

 一方、今年の最低賃金額の改定について、「引上げるべき」と回答した
企業の割合は、前年調査から13.6ポイント上昇して41.7%となり、
「引下げるべき」と「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」の合計(39.9%)
を上回った。
経営者のマインドも賃上げが必要だとする意向が強まっている。


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■■■ ジョブ型と職務給――時空を超えて導入議論でクロスする情景 ■■■
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 最近の人事・労務関係の話題で、大きく注目を集めているのが「ジョブ型」。
「ジョブ型雇用」が一般的に流布しているものの、「ジョブ型人事システム」と
いった名称も使われており、若干、混乱気味。もともとは「ジョブ型雇用」は、
経団連が春闘に向けた交渉ガイドラインを示す2020年版の
「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」で、「メンバーシップ型」の
人事制度(新卒一括採用・年功処遇・終身雇用)と欧米流の「ジョブ型」の組み合わせが
必要と提起したことで、議論が活発になってきた。
これに先立ち、当時の中西宏明会長が2018年9月に「終身雇用制や一括採用を中心とした
教育訓練などは、企業の方針からみて成り立たなくなってきた」と発言、
翌19年5月には「終身雇用を前提に企業運営、事業活動を考えることには限界がきている」
と述べ、日本型雇用システムの抜本的な見直しを提起し、
物議をかもしてきた経緯がある。

ジョブ型雇用について経団連は、
「当該職務・仕事の遂行に必要な知識や能力を有する社員を配置・異動して活躍して
もらう専門業務型・プロフェッショナル型に近い雇用区分を想定」したものと規定。
その後、2021年の経労委報告ではメンバーシップ型とジョブ型を最適に組み合わせた
「自社型」雇用システムの必要性を説き、今年の報告では一歩進めて、
「自社型雇用システム」の確立を求めた。

  こうした主張と歩調を合わせるように、中西会長の出身である日立製作所のほか、
富士通、NEC、パナソニックといった大手電機メーカーのほか、
KDDI、NTTでも「ジョブ型」の人事システムは、管理職に先行的に導入され、
その後、従業員に制度を拡大するプロセスで検討が進んでいる。

 この新たな人事システムが必要になってきたのは、日立の例にみられるように、
企業活動がグローバル化するなか、国内と進出先国の人事制度を統合する必要に
迫られたことがある。
さらに、企業の競争力強化に向け、既存人材の専門性・レベルを適切に把握し、
「適材適所」から「適所適材」に人事配置の発想を転換させることが必要になって
きたことがある。
そのため各社の動向をみると、新卒採用の入り口での「ジョブ型」だけではなく、
即戦力の中途採用とあわせて社内公募制によって人材マッチングを強化している
という点で共通している。

 各社が「ジョブ型」を急ぐのは、当然ながらDX(デジタルトランスフォーメーション)
の加速が求められているからだ。
デジタル技術を活用した技術革新の遅れがコロナ禍で明らかになる中、
それを担う適所適材の人材配置と強化は不可欠となっている。

 こうした風景は約60年前、高度成長のけん引役となった製造業における
生産設備の機械化・近代化が加速した時期に、
「職務給」導入が盛んに議論された背景と酷似している。
当時、経営側は生計費ベースの賃金体系から、職務(ジョブ)を基軸とした
賃金体系への移行を主張した。
しかし、この時は労働組合の反対が強く、「職務給」の導入は経営側の意図通りには
進まなかった。
しかし、高度成長によって賃金が一本調子で伸びたこともあり、
設備の機械化・合理化による生産性向上については、労働側の協力と理解を得る
ことができて、製造業の近代化は着実に進んだ。そして、
現在につながる年功的な賃金体系を温存した「メンバーシップ型」の
職能資格制度が定着する。

 ポスト・コロナを展望して、経済の再起動・再生を担う力をどこに
集中すべきなのか。
今回のジョブ型について、労働側は懸念を示す向きもあるが、
当該労使の話し合いは順調に進んでいるようだ。
「ジョブ型」が成長の起爆剤になるか。しばらく、その成り行きを注視したい。


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■■■ AI開発に必要な文系と理系――中高年層も「ジョブ型」 ■■■
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 これから加速していくDXの担い手は若年層で、それについていけない
中高年は淘汰されるのか。実は60年前の「職務給」導入の際にも同じような懸念が
あった。
機械化による合理化の進展で、年功は意味を失い、新たな技術に順応できる
若年層の低賃金は合理的な意味を失うと想定された。

 しかし、先にみたように右肩上がりの賃上げがあったことで、
能力給の導入という一部賃金体系の見直しは施されたものの、
バブル崩壊までは、年功的な賃金制度とその運用が行われてきた。

 バブル崩壊後の年俸制⇒成果主義⇒役割等級制導入といった賃金制度の見直しは、
高齢化による賃金コストの増加を生む年功賃金の行詰まりを打開するための
取り組みだった。
今回の動向は、これをさらに進め、脱年功の「職務」(ジョブ)を基軸にした
賃金・人事制度に移行させるための動きだとみることができる。

 DX推進で取り上げられるのはまず脱ペーパー化、
さらには定型業務のRPA(ロボットによる業務自動化)化やAI(人工知能)の
導入による省力化で生産性を向上させることが目的となる。

 昨年来、筆者はOECD(経済協力開発機構)の要請による調査に関わり、
最近、「金融業におけるAI 技術の活用が職場に与える影響―OECD共同研究」(JILPT)
を公表した。
金融業に続き、製造業の調査を続けているが、このなかでAI開発担当者の複数が
指摘していたのが、技術者だけではAIは作れないということだった。

AIの開発にはまず、業務を熟知した従業員がそれぞれの「職務」のなかで行っている
「課業」(タスク)を抽出し、ワーク・フローを描き、どの部分を自動化できるのか
といった要件を論理的な言葉で表現し、開発者に伝え、相互理解することから
開発が始まる。

その作業で必要なのは理系脳ではなく、文系脳。まず日常業務を理解している
人が正しく言語化することが必要になる。

その意味で、年功で培われてきた業務の習熟性こそが、デジタル化のステップに
欠かせない要素になる。
イノベーションの加速に必要なのは、技術や人の結合だといわれており、
AI開発にとって理系と文系の結合が必要だという指摘がまさにこれにあたる。

デジタル化の進展とともに、採用時や若年層に対してはジョブ(職務)ベースの
脱年功の賃金制度が広がりを見せている。
しかし、60歳以降の定年延長や70歳までの就業継続を検討する際にも、
中高年の業務の「習熟度」を基礎にした「職務」ベースの賃
金・処遇体系を設計することも同時に求められているのではないだろうか。
                              (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 今年のゴールデンウイークは、昨年より旅行などの外出者が増加しています。
資源や穀物の高騰から商品の価格が上昇しており、20年ぶりの円安も続いています。

4月にロッテ佐々木朗希投手が28年ぶりの完全試合を最年少で達成。
同時に13連続奪三振新記録、1試合最多奪三振19の27年ぶりタイ記録です。

佐々木投手の育成方法に企業も関心を寄せています。
球団は、佐々木投手に対しては「成長に時間が掛かる」とじっくり育成しました。

佐々木投手の相棒松川虎生捕手は今年入団の18歳です。
松川捕手に対しては、捕手のポジションのため「成長までの猶予期間がある」
として3年の育成計画でした。
ところが2月のキャンプ第1クールから対話力・伝達力で首脳陣を驚かせ、
育成計画を練り直しました。
球審による佐々木投手への “詰め寄り” 騒動でも、松川捕手の制止する姿は
新人とは思えない行動でした。

新人を教育する立場の先輩・上司は、コミュニケーションをしっかり取って、
新入社員一人一人の成長能力を速く分析して、
教育していくことの大切さを学んだ4月だったと思います。

佐々木投手と松川捕手の若い二人の活躍が楽しみです。

 連休明け、新入社員が人間関係から生じる疲れに襲われる
「五月病」が見受けられます。
コロナ禍でリモートワーク中心の場合、出勤して同僚等に会う機会が減少するため、
疲労蓄積が遅れ6月にずれ込むことがあると指摘がされています。
 対面によるコミュニケーションで同じ空気感も対策の一つです。    (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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