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労働市場の流動化と解雇の金銭解決制度
 ~労使が対立する解決金の水準など、厚労省の議論に注目~

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第246号
                              2022/10/01

           http://www.koyousystem.jp
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コロナウイルス感染症の勢いも少しずつ収まる傾向が見えてきたようです。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第246号をお送りします。

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□ 目次 INDEX‥‥‥‥‥

◆労働市場の流動化と解雇の金銭解決制度
  ~労使が対立する解決金の水準など、厚労省の議論に注目~

■労働者の申立に限定。解雇無効時に労働契約解消金
■不当解雇での泣き寝入りする人の救済では労使の弁護士は一致
■解消金のルールや水準の設定で労使に大きな隔たり
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■令和4年版『労働経済白書』――労働移動の促進に向けた課題を分析
■注目度増す「学び直し」――厚労省がガイドライン
■過半数が中流以下、約4割が「親より豊かになれない」(NHK・JILPT調査)
                 (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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◆労働市場の流動化と解雇の金銭解決制度
  ~労使が対立する解決金の水準など、厚労省の議論に注目~

 岸田文雄首相が9月22日、ニューヨーク証券取引所での講演で
「年功的な職能給の仕組みをジョブ型の職務給中心の給与体系への移行を促す指針を
来春までに官民で策定する」と表明した。

ジョブ型は雇用の流動化を促進するとされ、政府の労働市場の流動化の方針とも重なる。 
そこで注目されるのが厚生労働省の労働政策審議会(労政審)で
検討予定の解雇の金銭解決制度だ。


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■■■ 労働者の申立に限定。解雇無効時に労働契約解消金 ■■■
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 今年4月、厚労省は「解雇無効時の金銭救済制度に係わる技術的論点に関する検討会報告書」
(以下、報告書)を公表した。
報告書は、労働者側の申し立てに限定し、裁判所が「解雇は無効」と判断した後、
職場復帰を望まない場合に、金銭解決によって労働契約を終了させる制度を検討したものだ。
現状の解雇紛争解決の手段としては労働局のあっせん等、労働審判、民事訴訟がある。
報告書では無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が
「労働契約解消金」を支払い、その支払いによって労働契約が終了する
「労働契約解消金請求訴訟」制度を設けることを想定している。

 「労働契約解消金」の定義について
(1)無効な解雇がなされた労働者の地位を解消する対価、
(2)無効な解雇により生じた労働者の地位を巡る紛争について労働契約の終了により解決する対価
 ――の2案を提示している。

そして「定義をどのように定めるかは、その性質や考慮要素等の検討とも関連しており、
本制度の機能等も考慮した上で政策的に判断すべき」としている。
考慮要素には給与額、勤続年数、年齢、合理的再就職期間、解雇に係る労働者側の事情なども入り、
定義によっては解消金の金額も変わり得るだけに、労政審の議論でまとまるのかどうかも課題だ。

 また、「労働契約解消金の算定方法」など具体的な金額の水準には触れていない。
「一定の算式を設けることを検討する必要がある」としているが、
労働者の地位や解雇に関する実態は個別の事案によって千差万別であり、
個別性をどう反映するのかも課題になる。
その上で、算定時の考慮要素などを示し
「予見可能性を高める観点から、上下限を設けることが考えられる」とし、
具体的な内容については政策的に判断すべきとし、労政審に丸投げしている。

 いずれにしても制度化するには、議論すべき多くの課題が残されている。
加えて労働側は解雇を誘発するとして制度創設そのものに反対し、
経営側も大企業と中小企業も一枚岩ではない。
4月27日に開催された労政審で使用者側の中小企業団体の委員は制度の最大の
ポイントとなる解決金額について

「どの程度の水準になるかということが中小企業にとっても非常に気になる点だ」とし、
「この制度について議論をする際に、労働契約解消金の水準はとても重要なことで
あるので、参考となるデータをぜひお示しいただきたい」と発言。

賛否は解決金額の水準しだいであることを匂わせている。


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■■■ 不当解雇での泣き寝入りする人の救済では労使の弁護士は一致 ■■■
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 今回の報告書を含めて解雇の金銭解決制度の創設については解雇事案の解決に
あたる現場の弁護士にも意見を聞いた。
何人かの労使の弁護士に聞いてもやはり賛否が分かれた。
ただし、使用者から一方的に解雇され、何の補償もないまま泣き寝入りをしている
労働者の救済の必要性では一致している。
労働審判や裁判を起こす人は氷山の一角にも満たず、大多数は不当な解雇をされても
裁判に踏み切る人が圧倒的に少ないといわれる。

 労働側のある弁護士は「多くの人は裁判の手続き自体を億劫だと感じ、
裁判をやるという決断がしにくく、泣き寝入りする。
あるいはあっせんで月収の1~2ヶ月ぐらいでがまんし、
さっさと転職したほうが自分の人生に有益だと判断する人が多い」と語る。

 現行の解雇事案の労働審判や民事訴訟でも解決金による和解が圧倒的に多く、
解決金は勤続年数が考慮され、月収の形で算定される。平均額はあっせんの場合は
1.8ヶ月、労働審判は7.6ヶ月分、裁判の和解は11.7ヶ月分。また事案ごとに水準も異なり、
裁判の和解事案の第3四分位(75パーセンタイル)は18.7ヶ月となっている
(労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書No174」2015年)。

 あっせんと労働審判や裁判での和解の解決金は大きく違うが、
経営側のある弁護士は「わざわざ弁護士をつけてやると費用もかかるし、
相当な期間もかかる。次の転職が決まっている人はそこまでやらない人がほとんど。
実際に裁判では悪口合戦だ。
それが真相究明に近づくのだから良いと言う人もいるが、結局、最後は金の話になる。
ほとんどの労働者はさっさとお金をもらえればよいと思っているし、
それだったら手っ取り早く終わらせたほうがよい」と語る。


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■■■ 解消金のルールや水準の設定で労使に大きな隔たり ■■■
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 ではどうするか。

労働側の弁護士は「労働者が使用者に金銭を請求したら月収2ヶ月あるいは3ヶ月分でも
よいのでもらえる制度ができると、裁判までやるエネルギーがない人にとっては
一定のメリットはあると思う。
でもそれは無理だ。なぜなら労働者が不当解雇だと決めつけてよいことになり、
裁判をしないで使用者に支払いを義務づける制度を使用者がとうてい受け入れるはずも
ないからだ」と語る。

 そうであるなら労働審判などで解雇無効を前提に金銭解決のルールを整備することも
有効かもしれない。
ポイントは報告書にある「労働契約解消金の上下限」をどう設定するかにある。
報告書では考慮要素として、給与額、勤続年数、年齢、合理的再就職期間などを示しているが、
現状の裁判の和解でも月収と勤続年数が考慮されている。

 ちなみにドイツの解雇制限法1a条では、
日本の整理解雇など経営上の理由に基づく解雇に限定し、
使用者が解雇するときは労働者が解雇訴訟を起こさない前提で補償金を支払うルールがある。
その場合の算定式は「勤続年数×月収×0.5」となっており、
0.5を上下させる重要な考慮要素の1つが年齢であり、年齢が高いと0.7とか0.8になる。
実はこれが裁判での和解の際のデフォルトルールになっている。

 しかし別の労働側の弁護士は「解決金の上下限の水準を設けることは
“公定価格”の設定を意味する。仮に下限が月収の3ヶ月、上限1年と法定されたとする。
労働者が不当解雇ではないかと使用者に言っても、使用者は『そうかもしれないが、
裁判に訴えてもこの範囲内でしかもらえないし、弁護士費用もかかる、
この金額で手を打ったら』と使用者が退職を迫るかもしれず、
リストラに利用されやすくなる」と語る。

 これについて経営側の弁護士は「使用者が無用な解雇を連発する可能性は
あるかもしれない。
ただし勤続年数を考慮することを前提に月収の12ヶ月分、
あるいは24ヶ月分を上限にすれば、無用な解雇が連発することにはならないし、
使用者も合理的な選択をするのではないか」と言う。

 しかし、労働側の弁護士は「普通の訴訟でも月収の2年分、3年分を勝ち取ってきた経緯もある。
上限が10年分に設定されるのであれば労働者もデメリットはないが、
それはとても期待できない。ましてや上限が1年分になってしまうと、
制度を使う労働者には不利である」と言う。

 労働契約解消金の水準をどう設定するかによっても大きな隔たりがある。
労使の弁護士の意見は平行線のままである。解雇の金銭解決制度の有効性の有無を含めて、
今後の厚労省の労政審の議論に注目したい。              (溝上 憲文)


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■■■ 令和4年版『労働経済白書』
            ――労働移動の促進に向けた課題を分析 ■■■
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 厚生労働省は9月6日に令和4年版の『労働経済の分析(労働経済白書)』を公表した。

『労働経済白書』は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、
統計データを活用して分析したうえで、直面する課題を抽出し、政策提言を行う。
今回で73回目となる白書のテーマは、
「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」。

 前半の労働経済分析では、新型コロナウイルス感染症の影響が依然続く中でも、
国内の経済社会活動は徐々に活発化し、雇用情勢には総じて持ち直しの動きが
みられると指摘。
その一方、転職者数が2年連続で減少するなど、
コロナ禍における労働市場の停滞が浮き彫りになった。

 もともとわが国の労働力移動は他国と比べると低い水準であることに加え、
21年の転職者数はコロナ前の19年に比べ63万人(17.8%)減少している。
白書の分析によると、労働力移動と全要素生産性(TFP)・労働生産性の
上昇に正の相関性があるとこから、
「労働移動による技術移転や会社組織の活性化によって生産性の向上につながる
可能性がある」と指摘する。

 こうした動向を踏まえて白書では
「主体的な転職やキャリアチェンジの促進において重要な要因」
「主体的なキャリア形成に向けた課題」などについて取り上げる。
転職希望者に影響を与える要因を分析したところ、
男性の場合、課長などの役職についていること、男女を問わない要因として
キャリアの見通しがあることと自己啓発の実施が重要であることが浮かび上がる。
また、キャリアチェンジを伴う転職については、ワークライフバランスを理由とする
ケースが多い。

 しかし、労働移動を促ために重視されている学び直しの機会は増えていない。
自己啓発をしている男性正社員で20年度に43.7%で12年度の50.7%から減少
(女性正社員も41.1%から36.7%に減った減少)。
その理由は「仕事が忙しい」がトップで、女性の場合、
「家事・育児が忙しい」の回答が多い。

 こうした動向や分析を踏まえ、白書は、今後の労働市場を見据えつつ、
1人ひとりが自分の意志で仕事を選択できる環境を整え、主体的なキャリア形成を行うため、

(1)介護・福祉分野やIT分野の人材の需要の高まりなど、労働力需要の変化に対して、
  外部労働市場を通じた労働力需給の調整が今後重要である、

(2)キャリアコンサルティング等を通じた主体的なキャリア形成の意識付けや、
  自己啓発によるスキルの向上等が転職などのキャリア形成の希望をかなえる
  重要な要素である――ことなどを提起している。



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■■■ 注目度増す「学び直し」――厚労省がガイドライン ■■■
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 「新しい資本主義の実現」を掲げる岸田首相は臨時国会冒頭の所信表明演説で、
新たな総合経済対策の一環である
「構造的な賃上げ」の実現に向け、スタートアップ企業など成長分野で働くための
学び直しなどの支援に5年間で1兆円を投入する方針などを表明するという。

 先の白書でも労働移動を促す取り組みとして「学び直し」に焦点を当てていたが、
デジタルトランスフォーメーション(DX)など企業を取り巻く環境変化への対応や、
労働者の主体的なキャリア形成に向け、労働者の学び・学び直し
(リスキリング・リカレント学習)の注目度がますます高まりそうだ。

 こうした動向を受けて、厚生労働省は6月に労使が取り組むべき事項を体系的に示した
「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を策定している。
ガイドラインは、職場における人材開発として、労使が取り組むべき事項を体系的に提示。
労使の協働を実効性あるものにしていくために、
現場での「学びのプロセス」を具体的に示し、労働者への支援だけでなく、
学び・学び直しの方向性・目標の共有や現場リーダーの役割の重要性なども
整理している。

 ガイドラインでは、職場における学び・学び直しについての
「基本的な考え方」として、DXの加速化など企業・労働者を取り巻く環境が
急速かつ広範に変化し、労働者の職業人生の長期化も進行するなかで、
「労働者の学び・学び直し(リスキリング、リカレント学習)の必要性が益々高まっている」
と強調。企業・労働者双方の持続的成長に向け、

「企業主導型の職業訓練の強化を図るとともに、労働者の自律的・主体的かつ
継続的な学び・学び直しを促進することが重要となる」と、
労使双方からの取り組みの必要性を訴える。

 これまでは、わが国では人材育成にあたって企業内教育訓練(OJT)を
中心にしていたが、急速かつ広範な経済・社会環境の変化は「企業内における
上司や先輩の経験や、能力・スキルの範囲を超えるもの」だと指摘。
これまで重視されてきたOJTによる教育訓練に加え、OFF-JTや自己啓発など、
社内外で行う教育訓練を大幅に充実・強化する必要があるとした。

 学び・学び直しにおける「労使の協働」にも言及。
企業と労働者の双方にとって持続的な成長につなげていくため、
「企業が目指すビジョン・経営戦略といった基本認識」の労使間共有や、
「必要となる能力・スキルの方向性と個々の労働者の学び・学び直しの方向性・
目標に関する労使の『擦り合わせ』」などが必要になるとした。

 そのうえで、現場で自律的・主体的な学び・学び直しが円滑に行われるための
「学びのプロセス」について、

(1)職務に必要な能力・スキル等を可能な限り明確化し、学びの目標を関係者で共有すること
(2)職務に必要な能力・スキルを習得するための効果的な教育訓練プログラムや
  教育訓練機会の確保
(3)労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを後押しするための伴走的な支援策の展開

  ――の3点をふまえて進められることが望ましいとしている。

 また、ガイドラインは労使が具体的に取り組むべき事項として、

(1)学び・学び直しに関する基本認識の共有
(2)能力・スキル等の明確化、学び・学び直しの方向性・目標の共有
(3)労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの機会の確保
(4)労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを促進するための支援
(5)持続的なキャリア形成につながる学びの実践、評価
(6)現場のリーダーの役割、企業によるリーダーへの支援――を示し、
 それぞれについて、考え方や推奨される取り組み例などを具体的にまとめている。



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■■■ 過半数が中流以下、約4割が「親より豊かになれない」
                      (NHK・JILPT調査) ■■■
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 9月16日に発表された「暮らしと意識に関する NHK・JILPT 共同調査」(一次集計)
結果によると、過半数(55.7%)の回答者が「中流より下の暮らしをしている」と回答。
また4割弱は「親より経済的に豊かになれない」と考えており、
こうした回答者は「日本では、努力さえすれば誰でも豊かになれる」という考えに
否定的な傾向があることが分かった。

 かつて意識調査の結果で「一億総中流」が喧伝されていたが、
バブル崩壊後の長期低迷が、「中流」の崩壊を招いたといえる。
さらに「親より豊かになれない」との調査結果は、同様に30年ほど前に米国で大きく
取り上げられており、格差拡大と分断が進む米国の後を追っているのではないかと
危惧される。

 調査は、7月29日~8月1日に調査会社に登録しているモニターによるWEB調査で実施、
有効回答5,370 人を集計した。

 それによると、調査対象者に、イメージする「中流の暮らし」をしているかについて
尋ねると、過半数(55.7%)は「中流より下の暮らしをしている」、
5.9%は「中流より上の暮らしをしている」、
38.4%は「中流の暮らしをしている」と回答。
属性別にみると、無配偶者は有配偶者と比べ、「中流より下の暮らしをしている」と
回答する割合が高い。

 また学歴が高いほど、「中流より上の暮らしをしている」と回答する割合が高い。

 イメージする「中流の暮らし」を送るには少なくともどれくらいの年収が必要か
について、有配偶者は「600 万円以上」と「800 万円以上」、
無配偶者は「400 万円以上」と「600 万円以上」に回答が集中し、
各々「600 万円以上」の割合がもっとも高い。

 イメージする「中流の暮らし」に当てはまる条件については、
「世帯主が正社員として働いている」(63.0%)がもっとも多く、
次いで、「持ち家に住んでいる」(61.2%)、
「自家用車を持っている」(59.5%)の順となった。

 現在の生活水準について、「暮らしにかなり余裕がある」の回答割合は 3.1%と少数、
「どちらかと言えば暮らしに余裕がある」は 4割。
一方、「どちらかと言えば暮らしに余裕はない」は 41.8%、
「暮らしに余裕は全くない」は 14.9%で、
過半数(56.7%)は暮らしに余裕はないと回答している。

 自分の将来の暮らし向きの見通しについては、
「今より暮らし向きは良くなる」の回答割合は 1割弱(9.6%)にとどまり、
「今の暮らし向きを維持できる」は5割(53.2%)を占めるが、
「今より暮らし向きは悪くなる」は4割弱(37.2%)を占める。

 日本では、努力さえすれば誰でも豊かになることができると思うかについて尋ねると、
「思わない計」(「どちらかと言うと思わない」と「全く思わない」の合計)
は3分の2(65.6%)にのぼる。

親より経済的に豊かになれると思うかについては、
「なれないと思う」(36.2%)、
「同じくらいの豊かさになると思う」(27.7%)、
「なれると思う」(18.6%)の順。

「なれないと思う」は、年齢階級別では、20代(31.3%)から 30代(41.3%)、
40代(42.5%)にかけて高く、
就業形態別では、非正規雇用者・フリーランス(41.8%)は、
正規雇用者(34.1%)に比べて高い。
親より経済的に豊かになれない理由は、親の時代と景気が異なることが
約6割(60.9%)でもっとも高く、給与水準の違い(41.9%)、生活コストの上昇(39.1%)、
雇用形態が異なること(30.3%)が続く。             (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 新型コロナウイルス第7波の新規感染者数が減少しています。

第7波の主流であるオミクロン型によるコロナ後遺症患者の症状が多様化しています。
従来の倦怠感、咳、頭痛に光・音に対する感覚過敏などの症状が加わり、中には症状
が長期化するケースもあります。

 総務省統計局は、「敬老の日」(9月19日)を前に統計による65歳以上の高齢者に
ついて発表しました。

高齢者の就業率は、65~69歳は10年連続で上昇し2021年に初めて50%を超えて50.3%となり、
70歳以上は5年連続で上昇し2021年に18.1%となっています。

高齢就業者の雇用形態は、非正規の職員・従業員が75.9%を占め、
そのうちパート・アルバイトの割合が52.2%と最も高くなっています。

パート・アルバイトについた主な理由は
男性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」(30.7%)が
最も高く、次いで「専門的な技能等をいかせるから」(18.5%)、
「家計の補助・学費等を得たいから」(16.4%)などとなっています。

女性は「自分の都合のよい時間に働きたいから」(38.0%)が最も高く、
次いで「家計の補助・学費等を得たいから」(21.7%)、
「専門的な技能等をいかせるから」(8.7%)などとなっています。

 2021年4月1日、人口が減少する中で、働く意欲がある高年齢者が
その能力を十分に発揮できる環境の整備を目的とした
高年齢者雇用安定法の一部が改正されました。         (白石)


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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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