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裁量労働制の見直しが固まる
 ~長時間労働の防止等、社員の満足度向上がカギを握る~

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第251号
                              2023/03/01

           http://www.koyousystem.jp
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桜の便りが春の訪れを告げています。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

雇用システム研究所メールマガジン第251号をお送りします。

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□目次 INDEX‥‥‥‥‥

裁量労働制の見直しが固まる
  ~長時間労働の防止等、社員の満足度向上がカギを握る~

■M&Aアドバイザー業務が専門型に追加
■専門型に本人同意が追加。同意の撤回手続きが企画・専門型に新設
■労働時間の配分など本人の裁量がない場合は違法
■本社の一括届出が可能に。労使協議の重要性が高まる
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■異例の展開となる2023春闘――トヨタ、ホンダでは2月中に満額回答
■労働側も昨年を大きく上回る賃上げ要求――2月中に早期決着も
■中小への賃上げに欠かせない価格転嫁――価格交渉・転嫁で政府が実名リスト公表
                 (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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裁量労働制の見直しが固まる
  ~長時間労働の防止等、社員の満足度向上がカギを握る~

 裁量労働制の制度の見直しを含む厚労省の省令案がまとまり、
2024年4月1日に施行されることになった。
今回の見直しでは、専門業務型裁量労働制の本人同意の義務化や
企画業務型裁量労働制を含めて同意撤回の手続きが義務化されたほか、
健康・福祉確保措置が指針で強化されるなど改善点も多い。
主な改正点は以下の通りだ。


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■■■ M&Aアドバイザー業務が専門型に追加 ■■■
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(1)銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び
  助言をする業務について専門型の対象とする。
(2)専門型の対象者の本人同意を得ることを義務化。
  同意しなかった場合の解雇等の不利益な取り扱いをしないことを労使協定事項とする。
  同意の撤回の手続きを専門型(労使協定事項)・企画型(労使委員会決議事項)
  ともに追加する(省令)
(3)企画型の対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更
  する場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うことを決議事項に
  追加する。また、説明に関する事項を労使委員会の運営規程に追加する。
  労使委員会の開催頻度を6か月に1回とすることを労使委員会の運営規程に定める(省令)。
(4)健康・福祉確保措置の追加。
  措置の内容を「事業場における制度的な措置」と「個々の対象労働者に対する措置」
  に分類し、それぞれから1つずつ以上を実施する(大臣告示)
(5)裁量労働制は、始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度
  であることを示す。
  労働者から時間配分の決定等に関する裁量が失われた場合には、
  労働時間のみなしの効果は生じないものであることに留意することを示す(大臣告示)
(6)みなし労働時間の設定にあたっては対象業務の内容、賃金・評価制度を考慮して
  適切な水準とする必要があることや対象労働者に適用される賃金・評価制度において
  相応の処遇を確保する必要があることを示す(大臣告示)
(7)労使協定及び労使委員会決議の本社一括届出を可能とする(大臣告示)
  裁量労働制は周知のようにあらかじめ労使協定(専門型。企画型は労使委員会)
  で定めた時間を労働したとみなす仕組みであり、労使協定を労働基準監督署に届け出、
  受理されて有効になる。

 使用者側が要望していた専門型に(1)のM&Aアドバイザー業務が追加された。

現在、専門型は新商品や新技術の研究開発、人文科学や自然科学の研究、
情報処理システムの設計、新聞記者など19業務が指定されている。
新たなM&Aアドバイザー業務について厚労省労働基準局労働条件政策課の担当者は
「銀行・証券会社に限定し、顧客のM&Aに関する調査または分析、またはこれに基づく
考案・助言を行う業務に携わる人であり、売り手と買い手の仲介する業務は含まれない」
(労働条件政策課)と言う。


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■■■ 専門型に本人同意が追加。同意の撤回手続きが企画・専門型に新設 ■■■
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 最大のポイントは(2)の新たに専門型についても本人同意を必要とし、
同意の撤回手続きが企画・専門型に盛り込まれたことだ。
企画型は本人同意が決議事項となっていたが、専門型も労使協定事項となる。
撤回後の配置や処遇については
「あらかじめ協定や決議で定めておくことが望ましいことに留意する必要があることを
指針で示すことにしている。

同意撤回の際の取り扱いが明確になるように対応いただきたい」
(労働条件政策課)としている。

 健康・福祉確保措置の(4)では事業場と個人に対する措置が追加された。
裁量労働制で最も懸念されるのは長時間労働だ。
厚労省の「裁量労働制実態調査の結果」(2021年6月25日)によると、
1日の平均実労働時間は専門型が8時間57分、企画型が9時間15分(労働者調査)。
専門・企画型合計の平均が9時間となっている。
1週間で見ると、法定労働時間の40時間未満の労働者は18.6%、40時間以上が81.4%。
裁量労働制が適用されていない一般労働者との比較も行っているが、
40時間以上の非適用労働者は74.8%。60時間以上、つまり1ヶ月の時間外労働が80時間以上
の人は裁量労働制適用者で8.4%、非適用労働者で4.6%となっている。
実際は普通の労働者よりも労働時間が長くなる傾向がある。

 今回、新たに追加したものを含めた「事業場における制度的措置」の選択肢は
(1)年次有給休暇の取得促進、
(2)勤務間インターバルの確保、
(3)深夜業の回数制限、
(4)労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の適用解除)

  の4つ。

「個々の対象労働者に対する措置」は、
(1)医師による面接指導、
(2)健康診断の実施、
(3)代償休日または特別な休暇の付与、
(4)心とからだの健康相談窓口の設置、
(5)適切な部署への配置転換、
(6)産業医等による助言指導または保健指導

  ――の6つ。それぞれ1つずつ以上を実施することを指針で示すことにしている。


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■■■ 労働時間の配分など本人の裁量がない場合は違法 ■■■
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 (5)の時間配分の決定を労働者に委ねることや、その裁量が失われた場合は
労働時間の見なし効果が生じないことは当然こと。
労働条件政策課の担当者は
「そもそも労働者の時間配分など裁量が失われると、法律上の要件を満たさないことになる。
改めて裁量が失われると見なし効果が生じないものであることを留意するよう指針に明記し、
注意を促すことにしたもの」と語る。

その背景には法律の趣旨との乖離がある。

 前出の厚労省の調査によると、「具体的な仕事の内容・量」に関する裁量では
「上司に相談の上、自分が決めている」が最も多く38.7%。
次いで「上司に相談せず、自分が決めている」が24.9%だった。
その一方で「自分に相談なく、上司(または社内のきまり)が決めている」が7.1%、
「自分に相談の上、上司が決めている」が20.4%(専門型)。
仕事の内容・量に関して必ずしも裁量の全権が与えられているわけではない。
出退勤自由が原則の裁量労働でも、出退勤時間について
「自分に相談なく、上司(または社内のきまり)が決めている」が5.6%、
「自分に相談の上、上司が決めている」が2.0%もいることだ(専門型)。
企画型でも計6%の人が「上司が決めている」と答えているなど、
仕事の内容・量や出退勤時間に関して上司が深く関与するなど、
裁量労働とは呼べない実態もある。


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■■■ 本社の一括届出が可能に。労使協議の重要性が高まる ■■■
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 (6)の対象労働者の「相応の処遇を確保する必要」については
「年収水準も企業間で異なる現状があり、その水準を行政が一律に定めるということ
は考えていないが、裁量を持って自立的・主体的に働くのにふさわしい水準を
現場の労使でしっかり協議していただくこと」(労働条件政策課)と言う。

その上で「例えば年収200万円の人に裁量労働制を適用されるのは不適切であり、
そういうことがないように使用者が企業内の対象労働者の賃金水準を開示した上で、
労使協議の中で相応の処遇を確保していただく方向性で考えている」と語る。

 (7)について現行では各事業場の所轄の労基署に労使協定や労使委員会決議の
届出を行うことになっている。
今回、本社が各事業場の労使協定や労使委員会決議を取りまとめて本社の所轄の
労基署への届出を可能とした。
事業場ごとの届出では労基署によって判断が異なるなど手間と労力がかかるので
利便性が向上する。
ただし「協定や決議事項を結ぶのはあくまでも事業場の労使であり、
本社一括届出になっても協定等は事業場の所轄の労基署に転送され、
必要に応じて労基署の指導を受けるというフローに変更はない」(労働条件政策課)
と言う。

 省令は2024年4月1日に施行されるが、指針(大臣告示)は今年5~6月に示される
予定だ。コロナ禍を契機にテレワークやフレックスタイム制など自由度の高い働き方
に対するニーズが高まっている。
働き方改革の一環として裁量労働制をどのように使いこなすのかが問われてくる。
                              (溝上 憲文)

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■■■ 異例の展開となる2023春闘――トヨタ、ホンダでは2月中に満額回答 ■■■
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 2023年の春季労使交渉・協議(春闘)は、2月上旬から大手企業の労働組合が
要求書を会社側に提出し、交渉がスタートした。今季の特徴は交渉前から、
経営トップが賃上げに積極姿勢を示していること。
さらに、自動車メーカーのトヨタ、ホンダは2月中に組合要求に満額回答で応え、
事実上決着するなど、異例の展開となっている。

 大半の企業は3月中旬(15日が金属大手の集中回答日)に向けて、交渉を続けているが、
こうした大手の動向が中小企業やパート・アルバイトの有期雇用労働者にどのように
波及していくかも今季交渉の大きな注目点となる。

 昨年後半から、大手企業のトップから具体的な数字を示して、賃上げの実現に向けて
積極的な発言が相次いでいる。
具体的な例をあげると、サントリーHD(月収ベースで6%の賃上げ)、
ニトリHD(賃上げ最低でも4%)、日本生命(営業職員の賃金平均7%上げ)、
ロート製薬(平均7%賃上げ)、キヤノン(1月に全従業員の基本給を一律で7000円引き上げ)、
ソフトバンク(賃上げ5.4%で最終調整)、
アイリスオーヤマ(約3.5%のベア、定昇含め約5%増)、
ファーストリテイリング(3月から年収を最大4割引き上げ)、
ノジマ(グループ全体で4%のベア実施)クラレ(8%賃上げ)、
任天堂(全社員の基本給と初任給を10%引き上げ)。

 大手企業が5%以上の賃上げを実施するのは、バブル崩壊直後の90年代の初頭まで
遡らなくてはならない。
こうした積極姿勢の背景には、足元で4%という40年ぶりの大幅な物価上昇への対応
に加え、先進国に比べて見劣りする賃金水準(2021年時点=OECD加盟35カ国中で24位)
の是正に向けた対応といえる。
さらに、経済の回復とともに顕在化してきた人手不足のなか、
人材確保の強化策という側面も影響している。

 こうした動向に加え、若手の人材獲得に向けた待遇改善のため、
初任給の大幅引き上げに踏み切る企業(パレスホテル14%、大和ハウス9%など)も
相次いでいる。
リクルートワークスの昨年11月時点での調査では、
6割超の企業が初任給の引き上げを計画している。

 また、コロナ禍から本格的な業績回復が期待される流通・小売、サービス業関係では、
パート・アルバイトなどの有期雇用労働者の賃上げが勢いを増している。
流通最大手のイオンはグループ企業で働くパート約40万人の時給を平均7%引き上げる
方針を表明。
東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは、
パート・アルバイトを含む全従業員に平均で約7%の賃上げに踏み切る。
また、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)でも、パート・アルバイトの
時給・諸手当7%増を発表し、正社員も3月に6%増の報酬改定を実施する。

非正規雇用の比率が高い流通・サービス業で、こうしたリーディングカンパニーが
早期に高率の賃上げを表明したことによる同業他社への影響は極めて大きい。
また、足元のインフレに対する家計への配慮という意味合いで、
インフレ手当の支給も広がりを見せている。
YKKAPは全従業員に一律5万円、三菱自動車は「特別支援金」の位置づけで正社員など
約1万2,000人へ10万円を一時金で支給した。


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■■■ 労働側も昨年を大きく上回る賃上げ要求――2月中に早期決着も ■■■
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 労働側は春闘における賃上げ統一闘争を調整・指導する産業別労働組合が1月中に
中央委員会などを開き、闘争方針を機関決定したうえで、2月上旬から加盟する
大手企業の組合が会社側に要求書を提出して、本格的な交渉が始まった。

 主な産別の要求水準をみると、最大産別のUAゼンセン(185万人)が
上部団体の連合の要求指標(5%程度)を上回る賃金体系維持分に加え4%程度を
あわせて6%程度の賃上げ要求を決定。
過半数を占めるパートタイムなどの短時間組合員にも同様の要求水準を適用し、
総額で時給50円増を目安とした。

 相場形成に影響力の大きい日立製作所や東芝などの大手電機メーカーの労働組合
で構成する電機連合(60万人)では、産別統一闘争でリード役となる主要12社の
中闘組合が、賃上げの統一要求基準として、賃金体系維持のうえ、
開発・設計職基幹労働者(基本賃金)で7,000円以上の賃金水準の改善を要求した。

 要求額は昨年の3,000円以上の2倍以上となり、1998年以来25年ぶりの高水準となる。
回答指定日は3月15日に設定している。

 大手自動車メーカーで構成する自動車総連(79万人)は、
2019年から各組合が到達すべき賃金の絶対水準を重視し、産別としての上げ幅の
要求基準は示していないが、トヨタ自動車とホンダが組合の要求提出後、
2月22日の第1回の交渉・協議で会社側が満額回答の意向を示し、事実上決着した。
複数の自動車メーカーが2月中に満額回答を示すのは史上初。

 ホンダの労働組合は今季の要求で、ベースアップ相当分として1万2,500円、
定期昇給分との合計で月額1万9,000円(5%程度)の賃上げを求めた。
昨年のベア要求3,000円を大幅に上回り、1993年以来、30年ぶりの高い水準となる。
一時金では昨年実績を0.4カ月上回る年間6.4カ月分を要求していた。

 これに対して同社の経営側は初回の交渉で、組合要求に対して満額回答。
さらに、大学新卒の初任給を10%増の25万1,000円とすることも表明した。

トヨタも同日の労使協議のなかで、組合要求に3年連続で満額回答した。
同社の労組は賃上げについて全組合員平均の要求額は非公表とし、
15の職種・階級ごとにわけて、要求額を設定しているが、今季はベア相当の
賃金改善分を含めて要求した。
もっとも引き上げ水準が高い「事技職・指導職」の場合、9,370円の賃上げを
要求していた。
一時金は要求満額の年間6.7カ月分を回答したが、昨年実績を0.2カ月下回る。

 大手自動車メーカーのこうした先行回答に続き、パートタイムなどの
時給引き上げについて7%の引き上げを表明していたイオン・グループでも、
22日に東北6県で展開するホームセンターのサンデーが組合の要求通りに
満額回答したと上部団体のUAゼンセンが発表した。
パートの時給は7.01%(62.20円)の引き上げ、正社員はベア2.09%(5,000円)、
定昇を含めた一人平均では6.16%(1万4,706円)となる。
UAゼンセンは各組合の妥結権を本部が集約しており、妥結承認して初めて
公開する手続き踏んでいる。
正社員・パートともにUAゼンセンの方針である「6%程度」をクリアし、
妥結第一号となった。2月中に妥結承認するのは同産別が結成された
2012年以降初めてのこと。


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■■■ 中小への賃上げに欠かせない価格転嫁
           ――価格交渉・転嫁で政府が実名リスト公表■■■
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 金属・機械関係で、中小労組が多いモノづくり産別JAM(39万人)でも大幅に
要求水準を引き上げた。
昨年の要求基準は定昇相当の賃上げ構造維持分平均4,500円にベア等の賃上げ分
6,000円を加え1万500円以上だったが、今季は賃金構造維持分に賃上げ分9,000円を
基準とし計1万3,500円以上とした。

 大手では先にみたように、賃上げの回答・妥結が例年より早まる傾向が生まれて
いるが、中小企業に賃上げの流れが波及するための大きな焦点は「価格転嫁」。
JAMではエネルギーや原材料の高騰が続く中で、コスト上昇分を適正に価格転嫁
できない状況が広がっているため、社会全体に「価格転嫁」の大きなうねりを
作り出すための要請活動を強化している。

 こうしたなか、民間の調査機関である東京商工リサーチが2月20日に発表した
2023年度「賃上げに関するアンケート」調査(第2回)によると、今春闘で、
賃上げを実施予定の企業は80.6%だったが、規模別では大企業が85.5%に対して、
中小企業は80.0%で5.5ポイント下回った。
賃上げを「実施しない」理由は、中小企業では約6割(58.6%)の企業が
「十分に価格転嫁できていない」をあげ、
「原材料価格が高騰しているため」(53.9%)、
「電気代が高騰しているため」(46.4%)が続いている。

 こうした価格転嫁が進まない実情を受けて、政府は公正取引の取り組みを強化
しており、中小企業庁は2月7日、中小企業の価格転嫁を巡り、
受注側の中小企業との価格交渉や価格転嫁の状況について、
発注側の企業約150社の実名リストを公表した。 

 中小企業庁では、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、
2021年9月から、毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」に設定。
同月間で、価格交渉・価格転嫁を促進するため、広報や講習会、業界団体を通じた
価格転嫁の要請等を行い、月間終了後には、中小企業を対象に主な取引先との
価格交渉・価格転嫁の状況についてのフォローアップ調査を実施してきた。

 今回は、昨年9月から11月にかけて、価格交渉や価格転嫁に関する調査を実施し、
15万社中約1万5,000社が回答。
この調査で10社以上の中小企業から「主要な取引先」として名前が挙げられた
発注企業約150社を対象に、価格交渉や価格転嫁の状況についての回答を点数化。
平均値を「ア」(7点以上)から「エ」(0点未満)の4区分で整理し、
下請け中小企業振興法に基づいて各社の実名とともに公表した。

 その結果、価格交渉で最低評価の「エ」だったのは不二越、価格転嫁で「エ」
だったのは日本郵便だった。

 一方、価格交渉と価格転嫁の状況がともに最高評価「ア」となったのは住友化学、
日本製鉄、村田製作所、王子製紙など。こうした順位付け等の結果を踏まえて、
政府は状況の芳しくない親事業者に対しては下請中小企業振興法に基づき、
大臣名での指導・助言を実施する。

 最低評価となった日本郵便は13日、価格転嫁への改善に向けて協力会社との
パートナーシップ構築に向けた取り組みを発表。
配達・集荷などの委託契約に関する自主点検を実施し、2月中に完了させるとしている。

 今年の春闘では、賃上げ環境の整備のために政府が力点をおいている
価格転嫁に向けたこうした取り組みも注視していく必要がある。 (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 韓国統計庁は22日、2022年の合計特殊出生率が0.78と発表しました。

 特に、都市部で低下しており要因は女性への負担の偏りによる子育てと
仕事の両立の難しさ、住宅費や教育費の高騰などによる
生活の不安定さによるものです。
韓国政府は、育児休業制度等の整備で少子化対策をしていますが改善されません。

 日本も韓国と同様の要因で出生率が低下して少子化が問題とされています。
出産育児一時金の42万円を50万円への増額等が検討されています。
28日に厚生労働省が公表した2022年の人口動態統計(速報)では、
国内で生まれた子どもの数は統計のある1899年以降、初めて80万人を割り込み
想定より早く少子化が進んでいます。

 3月から協会けんぽの健康保険料率が変更され、
4月から雇用保険の失業等給付等の保険料率が労働者負担・事業主負担ともに
1/1,000引き上げられます。
労働者の手取額は減少し、経営者の人件費負担は増加します。

 3年以上に及ぶマスク着用も、3月13日以降は個人の主体的な選択を尊重し、
着用は個人の判断に委ねられることになります。
マスク着用は自由になりますが、周囲への配慮は引き続き必要でしょう。(白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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