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管理職の育成と選抜方法の進化(上)
 ~減少する管理職と選抜方法の多様化~

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┃\/┃    ★雇用システム研究所メールマガジン★
┗━━┛                           第255号
                              2023/07/01

           http://www.koyousystem.jp
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梅雨の蒸し暑い毎日が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。
雇用システム研究所メールマガジン第255号をお送りします。

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□目次 INDEX‥‥‥‥‥

管理職の育成と選抜方法の進化(上)
   ~減少する管理職と選抜方法の多様化~

■大卒総合職で入社しても同期の6割が課長になれない
■多角的な視点での選抜。上司の推薦も無効に
■公募方式で管理職を選考。本人の意欲と公正性を重視
                 (以上執筆者 溝上 憲文)

■骨太方針と新しい資本主義グランンドデザインを閣議決定
 ――三位一体の労働市場改革と構造的賃上げの実現めざす 
■プライム市場上場企業の女性役員比率目標を30%以上に
 ――「女性版骨太の方針2023」
■若者・子育て世代への所得支援で少子化を反転
 ――「こども未来戦略方針」
                 (以上執筆者 荻野 登)


編集後記(白石多賀子)

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管理職の育成と選抜方法の進化(上)
   ~減少する管理職と選抜方法の多様化~

 近年、管理職、特に課長職を取り巻く環境が大きく変化しつつある。
1つは管理職数が減少していること、2つ目は昇任要件が厳格化してきていること、
3つ目は選抜の仕組みが多様化してきていることだ。


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■■■ 大卒総合職で入社しても同期の6割が課長になれない ■■■
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 大企業6社の管理部門の部長(人事・総務・法務等)を取材する機会があったが、
10年前と比べて同期で管理職に昇進する人が減っていると異口同音に答えた。
エネルギー関連企業では、20年前は同期の8割は最低でも課長にはなれたが、
今は4割程度に減少。
部長に昇進するのは同期の1割程度であり、その上の事業部長・本部長クラスなど
役員クラスは同期でもなれないケースもある。

 食品業でも同期で課長職になるのは5割弱、部長が2割程度。その上の執行役員は
数年に1人出るか、出ないかという状況にある。
建設業でも課長になるのは同期の4割強、部長職は6%程度という。
もっと少ない企業もある。

住宅関連企業ではラインの課長は3割程度、部長は4%程度である。
また、サービス業も課長に昇進するのは、10年前は5割程度だったが、
今では3割程度に減少し、部長が10%程度、役員は1%にすぎない。
大卒総合職で入社しても総じて6割の人が管理職になれないのが実態だ。

 その背景には、経営のスリム化や組織のフラット化がある。
エネルギー関連業では、以前は主任、係長、課長代理、課長、次長、部長など
段階的に役職を設けていたが、2000年頃から中間の役職を徐々に廃止し、
現在は課長と部長の役職しかない。
同社の部長は「年功序列的な日本的人事管理を修正し、組織のフラットを目指して
スリム化を図ってきた」と語る。

また建設業も基本的には課長と部長の間の役職を廃止した。
また近年は、選択と集中による部門やグループ企業の統廃合を推進。
同社の部長は「拡大路線の部門もあるが、生産性が低い部門やグループ企業は
精算するなど再編により、筋肉質の企業を目指している。

その結果、生産性の低い部門の管理職の多くは担当職に降格された。
同時に本社部門も役職を整理し、
多くの管理職が職能資格は残したまま管理職を降りた」と語る。


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■■■ 多角的な視点での選抜。上司の推薦も無効に ■■■
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 一方で、人事制度等の変更によって管理職を厳選するようになっている。
食品業は10年前に役割等級制度を導入。
4つあった管理職の職能等級を2つの役割等級に圧縮し、
部・グループ長以外の役職を廃止した。
さらに役割責任を明確化し、課長への登用も厳格化した。まずグループ長候補者の
要件として人事評価のS~Dの5段階の評価ランクで、過去3期の平均が
A評価以上であること、そのほかにTOEIC650点以上、
必須の通信教育の受講が前提になる。

人事部が候補者リストを作成し、上司におうかがいを立て、推薦してもらう。
その上で外部機関によるアセスメント研修と評価、さらに論文と面接、筆記試験と
プレゼンテーションの結果を点数化して、合格者が決まる。

 以前であれば上司が気に入って部下を候補者に推薦できたが、
人事評価がB評価だと、人事部の推薦リストにも載らない。
ただし合格してもグループ長になれるわけではない。同社の部長は
「合格すれば役割等級上では管理職層の位置づけになるが、グループ長になれるか
どうかは部門の合議で決まる」と語る。

さらに年功によらない役割等級制度の導入の結果、若くても管理職になれる道が開かれ、
競争相手も増えた。
「実力しだいで課長になれるようにした結果、5~6年前に33歳の最年少課長が誕生し、
部長も以前は早くて46歳、遅くても50歳ぐらいだったが、今は41歳の部長もいる。
40歳を過ぎて管理職を目指している人は複雑な心境だろう」(部長)と語る。

 同社に限らずライン課長の選抜ではマネジメント能力などリーダーとしての
資質を判断するために、社長を含む社内の人材委員会で協議し、決定する。
あるいは外部の機関のアセスメントを実施し、慎重に判断する企業もある。


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■■■ 公募方式で管理職を選考。本人の意欲と公正性を重視 ■■■
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 また、近年は課長選抜の仕組みも多様化している。
その1つが、ポスティング(公募方式)による管理職の選抜だ。
例えばジョブ型人事制度に移行した富士通は、一般社員も含めて2020年4月から
ポスティングをスタートし、20~21年の2年間に1万2000人が応募し、
4000人が異動している。
管理職ポストについてもポスティングで毎年数百人が登用されている。

 同社の人事担当者は「特にこだわっているのが幹部社員のポスティング。
今までは上司が推薦する形だったが、自分の意に沿わない異動もあったかもしれない。
手挙げ制によって自分のキャリアは自分でつくるためにチャレンジする姿勢が大事だ。
しかも年齢に関係なくチャレンジすることが可能であり、意欲があり、
なおかつふさわしい人材が選ばれる仕組みになっている」と語る。

 同様に管理職のポスティングを実施予定のIT企業の人事部長は
その目的についてこう語る。

「本人が一番やりたいかどうかが最も重要だ。従来のやり方で管理職に登用された
人も最適な人だったかもしれないが、競争をしていないのでわからない。
自発的な意思で競争させることによって意欲と能力を見極めることができる。
さらにマネジメント能力など、管理職を選ぶ側の意識も鍛えられる効果もある」と語る。

 キャリア自律が叫ばれるなか、課長選抜の公募制にとどまらず
次世代リーダー候補育成の選抜においても公正かつ透明性が重視されているのが
近年の特徴といえる。                     (溝上 憲文)

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■■■ 骨太方針と新しい資本主義グランンドデザインを閣議決定
     ――三位一体の労働市場改革と構造的賃上げの実現めざす  ■■■
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 岸田内閣の経済財政政策の全体像を示す2023年「経済財政運営と改革の基本方針2023」
(骨太の方針)と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」が
6月16日に閣議決定された。

 骨太の方針では、コロナ禍からの経済回復を確かなものとしつつ、
新しい資本主義の実現に向けた投資や規制・制度改革を行い、
「成長と分配の好循環」を実現することを目指す。
同方針ではマクロ経済運営の基本的な考え方に続く、「新しい資本主義の加速」の冒頭に
「三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現と
『人への投資』の強化、分厚い中間層の形成」が置かれており、労働分野の政策を
重視している点が大きな特徴。

 グランドデザイン・実行計画では、「人への投資」「構造的賃上げ」と
労働市場改革のほか、社会課題の解決に向けたスタートアップの育成や国内投資、
グリーン、経済安全保障、AI(人工知能)、半導体・電池といった戦略分野への
官民連携の投資などが柱となっている。

 骨太の方針では、足元の状況について
「30年ぶりとなる高い水準となる賃上げ、企業部門に醸成されてきた高い投資意欲など、
これまでの悪循環を断ち切る挑戦が確実に動き始めている。
今こそ、こうした前向きな動きを更に加速させるときである」と強調する。
そのうえで、コストの適切な転嫁を通じたマークアップの確保を行うとともに、
高い賃金上昇を持続的なものとするため、
「リ・スキリングによる能力向上の支援など三位一体の労働市場改革を実行し、
構造的賃上げの実現を通じた賃金と物価の好循環へとつなげる」との政策目標を示す。

 三位一体の労働市場改革による構造的賃上げの実現させるための鍵を握るのが
「賃上げ」であると指摘。
賃金の底上げや金融資産所得の拡大等により家計所得の増大を図るとともに、
多様な働き方の推進等を通じ、多様な人材がその能力を最大限いかして働くことで
企業の生産性を向上させ、それが更なる賃上げにつながる社会を創るとしている。

 一人一人が自らのキャリアを選択する時代となってきた中、職務ごとに要求される
スキルを明らかにすることで、労働者が自らの意思でリ・スキリングを行い、
職務を選択できる制度に移行していくことが重要であり、
「内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、労働者が自らの選択によって
労働移動できるようにすること」が急務であると強調する。

こうした考え方の下、「リ・スキリングによる能力向上支援」、
「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」、「成長分野への労働移動の円滑化」という
「三位一体の労働市場改革」を行い、客観性、透明性、公平性が確保される
雇用システムへの転換を図ることで、構造的に賃金が上昇する仕組みを作るとしている。

 「リ・スキリングによる能力向上支援」では、現在、企業経由が中心となっている
在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、
過半が個人経由での給付が可能となるよう、個人への直接支援を拡充する。

「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」については、職務給(ジョブ型人事)の
日本企業の人材確保の上での目的、人材の配置・育成・評価方法、リ・スキリングの方法、
賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係などについて事例を整理し、
制度の導入を行うために参考となるよう、年内に事例集を取りまとめる。

「成長分野への労働移動の円滑化」については、失業給付制度において、
自己都合による離職の場合に失業給付を受給できない期間に関し、
失業給付の申請前にリ・スキリングに取り組んでいた場合などについて会社都合の
離職の場合と同じ扱いにするなど、自己都合の場合の要件を緩和する方向で
具体的設計を行う。
また、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた
「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行う。

 グランドデザイン・実行計画では、こうした政策を実施する上での目標として、
国内外及び性別・年齢による賃金格差の縮小・解消をあげる。

 三位一体の労働市場改革を進めることで、構造的賃上げを通じ、
同じ職務であるにもかかわらず、日本企業と外国企業の間に存在する賃金格差を、
国ごとの経済事情の差を勘案しつつ、縮小することを目指す。
あわせて、性別、年齢等による賃金格差の解消を目指す。

 また、わが国の場合、これまでは転職前後の賃金を比較すると、
転職後に賃金が減少する傾向が見られたが、内部労働市場と外部労働市場の形成と
そのシームレスな接続により、転職により賃金が増加する者の割合が
減少する者の割合を上回ることをめざす。


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■■■ プライム市場上場企業の女性役員比率目標を30%以上に
                 ――「女性版骨太の方針2023」 ■■■
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 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」のなかでも岸田文雄首相の
肝煎り政策ともいえる「女性活躍・男女共同参画の重点方針」(女性版骨太の方針)
および「こども未来戦略方針」が相次いで決定された。

 両方針とも昨年5月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」で
2023年度までに策定することが決まっていたもの。
政府は6月13日、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」
を決定した。

女性活躍に向け、プライム市場上場企業の女性役員比率を2030年までに30%以上とする
ことを目標に掲げた。
 女性の所得向上と経済的自立に向けては、長時間労働の是正や「男性育休は当たり前」
になる社会の実現に向けた制度などを盛り込んだ方針は「基本的な考え方」で、
日本の男女共同参画の現状について「国際的に見て立ち遅れていると言わざるを得ない」
と指摘。

「様々なライフイベントに当たりキャリア形成との二者択一を迫られるのは
多くが女性であり、その背景には、長時間労働を中心とした労働慣行や女性への
家事・育児等の無償労働時間の偏り、それらの根底にある固定的な性別役割分担意識など、
構造的な課題が存在する」と問題提起する。

 こうした構造的な課題の解決に向けて、
「従来よりも踏み込んだ施策を講じることが不可欠」だとし、その柱として、
(1)女性の活躍と経済成長の好循環の実現に向けた取り組みの推進
(2)女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化
(3)女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現
(4)女性の登用目標達成(第5次男女共同参画計画の着実な実行)

 ――の4つを掲げ、それぞれ具体策を提起している。

 第1の柱については、「社会全体で女性活躍の機運を醸成し、
多様性を確保していくことは、男女ともに自らの個性と能力を最大限に発揮できる
社会の実現のために不可欠」と主張。

 具体的な施策としては、企業における女性登用を加速させるため、
プライム市場上場企業を対象とした女性役員比率の数値目標として、2023年中に、
(1)2025年を目途に女性役員を1人以上選任するよう努める
(2)2030年までに女性役員の比率を30%以上とすることを目指す
(3)これらの目標を達成するための行動計画の策定を推奨する

 ――との規定を、取引所の規則に設けるための取り組みを進める。

 また、女性起業家の育成・支援も盛り込んだ。
ロールモデルとなる女性起業家を創出し、育成支援するため、外部有識者からの
推薦に基づいて選出された企業を、政府機関と民間が集中支援を行うプログラム
(J-Startup)で、女性起業家の割合を20%以上とすることを目指す。

「女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化」では、特に、
企業の労働慣行の見直しや、家事・育児などの無償労働の負担の軽減の解消など、
「男女がともにライフイベントとキャリア形成を両立する上での諸課題の解消を進めていく」
としている。

 具体的な施策としては、企業の労働慣行の見直し、平時からの多様で柔軟な働き方
を進めるため、「長時間労働慣行の是正」を重視。
短時間勤務や勤務地、職種・職務を限定した多様な正社員制度を創設したうえで、
非正規雇用労働者の正規化を進める事業主に対する支援を強化する。
選択的週休3日制について、好事例を収集・提供することで導入を促す。

 「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて、こどもが3歳以降
小学校就学前までの場合、短時間勤務、テレワーク、出社・退社時刻の調整、
休暇など柔軟な働き方を職場に導入するための制度を育児・介護休業法で検討する。


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■■■ 若者・子育て世代への所得支援で少子化を反転
                   ――「こども未来戦略方針」 ■■■
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 政府は6月13日、こども・子育て政策の強化に向けた「こども未来戦略方針」を
閣議決定した。

 今後の3年間の集中取組期間で、できる限り前倒しで実施する「加速化プラン」
を打ち出した。
若者・子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないととし、
若い世代の所得増に加え、切れ目のないこども・子育て世帯への支援などを
基本理念にすえる。

 集中的に取り組む具体的な施策として、リ・スキリングの訓練期間中の生活を
支えるための新たな給付や融資制度の創設などの検討や、106万・130万などのいわゆる
「年収の壁」を超えても就業継続できるための企業支援などを盛り込んだ。

同日に記者会見した岸田文雄首相は「若年人口が急減する2030年代に入るまでが、
少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスだ」と強調した。

 方針では、とくにこども・子育て政策を抜本的に強化していくうえでの課題について、
(1)若い世代が結婚・子育ての将来展望を描けないこと、
(2)子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境があること、
(3)子育ての経済的・精神的負担間や子育て世帯の不公平感が存在すること

 ――をあげる。

 こうした実態をふまえ、方針は、基本理念を3点に整理。
第1に、「若い世代の所得を増やす」ことを掲げ、学びや就職・結婚・出産・子育てなど
様々なライフイベントが重なる時期において、現在の所得アップや将来の見通しを持てる
ようにすることが必要だとしている。

第2に、「社会全体の構造・意識を変える」ことをあげ、家庭で育児負担が女性に
集中している「ワンオペ」の実態を変え、夫婦が相互に協力しながら子育てし、
それを職場が応援し、地域全体で支援する社会をつくらなければならないと強調した。

第3に「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」ことをあげ、
親の就業形態にかかわらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、
ライフステージに沿って切れ目なく支援を行い、多様な支援ニーズには
よりきめ細かく対応する。

 加速化プラン(現時点の予算規模3兆円程度)の具体策をみると、
子育てにかかる経済支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取り組みが並ぶ。
焦点の児童手当については、所得制限を撤廃するとし、
「全員を本則給付とするとともに、支給期間について高校卒業まで延長する」と提起。
また、多子加算について、第三子以降を月3万円とするとし、
2024年度中に実施できるよう検討する。

 また、「出産・子育て応援交付金」(10万円)の制度化に向けて、
26年度をメドに出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援
などさらなる強化を検討する。

 高等教育費の負担軽減も盛り込み、貸与型奨学金について、
奨学金の返済が負担となって結婚・出産、子育てをためらわないよう、
減額返還制度が利用可能となる年収上限について、325万円から400万円に
引き上げるなどとしている。

 リ・スキリングの訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などを検討。
また、いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への当面の対応として、
被用者が新たに106万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、
労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対し、必要な費用を補助するなどの
支援強化パッケージを今年中に決定する。

 このほか、就労要件を問わず、時間単位などで柔軟に利用できる新たな通園給付
「こども誰でも通園制度」(仮称)の創設などを盛り込んだ。

 共働き・共育ての推進に向けた具体策では、男性育休の所得促進を重視。
男性の育児休業取得率について、2025年までに30%としている現行の政府目標を、
「2025年公務員85%(1週間以上の取得率)、民間50%」
「2030年公務員85%(2週間以上の取得率)、民間85%」に大幅に引き上げる。

 さらに、男女ともに、一定時間以上の短時間勤務をした場合に、
手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、こどもが2歳未満の期間に
時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促す
「育児時短就業給付(仮称)」を創設する。

 こうしたプランを支える財源については、「国民的な理解が重要である」とし、
2028年度までに徹底した歳出改革などを行い、実質的に追加負担を生じさせないこと
をめざすとした。

 また、消費税など、こども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした
増税は行わないと明記。
社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み
(「支援金制度(仮称)」)の構築を打ち出し、詳細については、
年末に結論を出す予定だ。                 (荻野 登)



編┃集┃後┃記┃
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 先月に発表された2023年各国の経済等の調査結果で、日本は昨年より順位を下げ、
日本と世界の格差が更に進み競争力が低下しているのが見てとれます。

○世界経済フォーラム(WEF):男女平等等の度合いを示すジェンダーギャップ指数は125位

○国連と連携する国際的な研究組織
「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」:
 SDGs(持続可能な開発目標)の進み具合は21位

○国際経営開発研究所(IMD):世界競争力ランキングは35位

 少子化対策の財源確保が気になるところです。
6月14日日経新聞朝刊に「児童手当拡充で扶養控除廃止」の場合の親の負担について
実質的な支援額の試算が掲載されていました。
年収によっては、児童手当の増額分よりも、扶養控除の見直しによる負担増になる
場合もあるようです。

 財源確保の課題になった社会保険料が増額されると、
更に実質的な支援額が減ります。充分な審議をして欲しいです。

7月10日まで、社会保険の算定基礎届と労働保険の年度更新の申請手続き作業中です。

今年の労働保険の申告作業は昨年10月に雇用保険料率が引き上げになった関係で
申告書に記載する事項が追加され、追加項目に1円未満の端数まで記入となり
結構大変です。

企業の事務担当者の事務軽減を考慮すべきと思った今年の年度更新作業です。

酷暑に向かいます。熱中症にはくれぐれもお気をつけください。    (白石)



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発行者 社会保険労務士法人雇用システム研究所
代表社員 白石多賀子 東京都新宿区神楽坂2-13末よしビル4階
アドレス:info@koyousystem.jp


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